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犯す女〜愚者の群れ〜のmのレビュー・感想・評価

犯す女〜愚者の群れ〜(2019年製作の映画)
4.8
エロスから離れた来春公開の「アルプススタンドのはしの方」でいよいよ多くの人にその名が知られそうな鬼才・城定秀夫監督の新作。「岬の兄妹」で注目を集めた和田光沙もこちらの予想を裏切っていく役柄で登場します。

なんと言うか凄かった、今回は本当に言葉に出来ない境地に辿り着いている。いつもの可愛らしくて心温まる城定節と久々のひりつくドス黒い方の城定節が交じり合いながら展開して、やがて生も死も、ハッピーエンドもバッドエンドも突き抜ける。ダークでチャーミング。喜んでいいのかどうか分からない祝祭感。整った感動ではなく無茶苦茶でアナーキーな混沌。

「ただいま、ただいま・・」「大丈夫、大丈夫・・」と自分に言い聞かせるように何度も小さく呟く主人公、そして彼が走りながら同じように呟く所、節々で彼女が「ずっと一緒にいよう?」「いま幸せ」と言う瞬間、彼が来たら崩すジェンガ、車中で笑っちゃう2人、壮絶な修羅場からシームレスに始まる誕生日祝い、素敵な瞬間がたくさん。シンクの下に潜っていく所だったり、奇妙な瞬間も印象深い。

不器用そうな浜崎真緒のチャーミングさ、守屋文雄のいつもの優しさ、予想を裏切る和田光沙の闇の深さ、外道なのに可愛らしい久保さん、二ノ宮隆太郎作品とかに出てきた細川佳央の清々しいまでの超絶クズ人間さ、と俳優陣も充実。

最後は本当に「アンダーグラウンド」的感覚があった、いまおかしんじmeets「アンダーグラウンド」的な。愚か者ばかりの登場人物達を包み込む祝祭感、そして弾ける彼女の笑顔と音楽。頭に焼き付く映画だった。