誰もが死という"結果"に辿り着くとしても、その時後悔しないようにたくさんの人と思い出を作る"過程"を大事にしよう。
…うん、頭では理解できる。
頭で理解できるだけに非リア充としては見ててちょっと辛いものがある。
砂浜に穴を掘ってその中から凧を見上げたり、手からサラサラと滑り落ちる砂を見つめたり、一人で海岸を歩きながら打ち上げられたクラゲ(?)を棒でつついたり蟹と戯れたり。
序盤の自ら孤独を選ぶサムの方がユニークで魅力的に感じられたが、成長と同時に失われたものがあるように思う。
自分の時間を謳歌する事も独創性を培う尊い思い出だろうに。
一応孤独になる事のデメリットとして「不意の危機に見舞われた時に助けてくれる人がいない」という事を劇中で描いてはいるが。
最終的にテスは父と暮らせるようになってメデタシメデタシだが、母とは別の恋人も一緒なのに今後ずっとなかよく暮らしていけるのか?という懸念が残る。(それとも、オランダはそーゆーお国柄なのか?)
個人的に一番どうかと思ったのが、サムとテスがキスする件。
サムは両親の大切さを再確認し、テスは生き別れた父親と暮らせるようになり、その上二人は愛を成就して…って流石に手に入れすぎだろう!?と、非リア充としてはやっかみも言いたくなる。
テスがヒューホに娘であることを打ち明けようとする時に、サムがテーブルの下でギュッと手を握ってあげる描写は良かった。
だが、そこ止まりにしておけば友情か恋愛感情か絶妙なラインを保てたのに、最終的にキスさせる事で関係性が矮小化されたように感じてしまう。
あとは、児童文学が原作で子供が観ることも想定してる割には全体的に作りが真面目過ぎる嫌いがある。
もっとコメディ要素があっても良いんじゃないかな?
最後に、やっぱ邦題が良くないのと、パッケージのサム君の切り抜きが雑で顔の周りに白い余白があるのが気になる。
文部科学省が本作を少年向き作品として選定しているが、子供に「リア充にならなければいけない」という強迫観念を与えそうで心配なのは俺の考えすぎ?