まるまるまる

i-新聞記者ドキュメント-のまるまるまるのレビュー・感想・評価

3.8
森達也監督のドキュメントはどの作品も分かり易く、ちゃんとエンターテイメント作品。この作品も引き込まれて、あっという間に終わってしまった。そして今回も人間という生き物への愛のこもった皮肉と、これまた愛いっぱいの意地悪な目線で、被写体の望月さんを中心にチャーミングや滑稽や、真っ直ぐな強さや、脆さという服を着た人という生き物を魅力的に描いている。村社会日本、何とかならないものなのか。この映画の公開から四年が経とうとしているが、さらに迷走する選挙政治にしがみつく政治家たち。この国を救うのは政治家ではなく民でありますように。1944年のナチスから解放されたパリの人々と、何かの渦に飲み込まれたように罵り合うネットで溢れる誹謗中傷を繰り返す現代の人々がリンクする。人の持つ残虐性。"イデオロギーの違いで誰を支持するとかしないとか、どの集団に属するとか、そうした違いが大切だとは思えない。一色に染まった正義は暴走して過ちを犯す"。その通りだと思う。それでも愚かなる人はすぐにその過ちを忘れて繰り返す。これまた人間ならでは狂気の沙汰である。それでもそれでも、あえて頑張れ日本と言いたい。
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