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BARに灯ともる頃のleylaのレビュー・感想・評価

BARに灯ともる頃(1989年製作の映画)
3.9
父と息子が久しぶりに再会し、共に過ごした数時間を描くエットーレ・スコラ監督作品。

当時65歳のマストロヤンニと「イル・ポスティーノ」のマッシモ・トロイージがとてもいい。早逝したのが惜しまれます。
翌年「ニキータ」でブレイクしたアンヌ・パルローが息子の恋人役で出演。

弁護士をしている父が、兵役中の息子に久しぶりに会いに行く。長年たいして口もきかなかった父と息子。

兵役がもうすぐ終わる息子の今後が気になる父。息子は父のいうとおりにローマに住む気もないし、今の街に残りたい。

すれ違いや親子の心の機微を描く会話劇です。
わかる、わかる〜ウチの親もそう!と何度も思いました。

他人とはイキイキと話をする息子を見てしまった父は、自分といる時と全く違う息子に嫉妬や腹立たしさを感じて拗ねて帰ろうとする。
電車の中で和解しながらも、無言のエンディングが絶妙な親子関係を表してて余韻が残る。

タイトルの「今、何時?」を何度も聞くシーンが子供みたいで可愛かった。

考え方も違うし、腹も立つけど、親子ってどこかで折り合いをつけて付き合っていくしかない。
そんな誰もが味わうような親子のやりとりが繰り広げられる、すごーく地味だけど味わい深く、優しい作品。

港町のBARに行ってみたくなりました。
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