螢

きっと、またあえるの螢のレビュー・感想・評価

きっと、またあえる(2019年製作の映画)
4.0
「食べて 飲んで 生きろ 人生は短い あるがままでいい 愚か者どもよ 心配するな」

大学受験に失敗したショックから飛び降り自殺を図り生死の境にいる息子に話し聴かせる、「負け犬」だった父の昔話。…と書くとヘビーな感じになるのだけど、そこはやっぱり人気インド映画。深刻な社会問題と人生の真理をベースに据えながらも、笑いあり、ギャグあり、しみじみ胸に沁みる素敵な友情と恋あり…からの安定の大団円で、もらい泣きの涙を流しつつ楽しく魅せてもらいました。

父と母(※離婚してる)が卒業した超一流大学の受験に失敗したラガーヴ。彼はショックから自殺を図る。両親は病院に駆けつけ祈るが、容態は回復せず、医師に「息子は生きる気力が弱い」と言われてしまう。

父のアニは、息子を追い詰めてしまったと後悔をしながら、自身の大学時代の「負け犬」エピソードを語りだす。
ラガーヴがそれに反応を示したことから、アニは、エピソードの大切な登場人物だけど忙しさにかまけて疎遠になって長年会ってなかった親友たちを呼び寄せたところ…。

長年連絡すらとってなかったのに、いざというときに集まって寄り添ってくれる仲間たちの偉大さとありがたさよ…。
親友たち揃い踏みで息子に語り聴かせる「負け犬」エピソードは、いかにも大学生らしい熱血ぶりやおバカ具合、そして、欠かせない厚き友情とハラハラ展開に満ちていて、全く飽きないし、引き込まれてしまう。

ああ〜もう、大学時代の親友に本当に会いたい!昨年からもう1年近くコロナで会えてないのだけど(物理的に会えない距離では全くないのだけど、職業柄もあるし、一番は性格の類似のため) 。
10年近く前の一時、狭い視野で思い詰めていた時期に、彼女の何気ない言葉で救ってもらえたことは忘れられない。もしかしたら、彼女は覚えてないかもしれないけれど。
でも、本当に救われたのです。
米映画の「スタンド・バイ・ミー」(1986)とか、同じインド映画の「きっと、うまくいく」(2013)とか、友情に厚い映画を見る度に彼女の言葉を思い出してきたのけど、きっと、この映画に出会えたことで、これからも、もっと何度も彼女の言葉を思い出す。

この作品は、本編ラストもいいのだけれど、是非エンドロールを最後まで観てほしい。
エンドロールこそ、明るく楽しいだけでなく、人生の真理を歌って踊って表現するインド映画らしさ全開なので。
昨年観た「シークレット・スーパースター」もそうだったけど、エンドロールに遊び心と並々ならない労力とを込めるの、最近のインド映画の流行なのでしょうか?
最後まで楽しませてくれます。

「失敗はすべてじゃない。失敗したものが負け犬になるわけじゃない。努力したかどうかだ。」
螢