YohTabata田幡庸

MONOS 猿と呼ばれし者たちのYohTabata田幡庸のレビュー・感想・評価

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)
4.2
物凄く良かったが、観る人を選ぶ作品。と言う程、話自体は難しくない。提示される情報はとても限られているのに、置いてけ堀を食わなかった。監督のストリーテリング能力の高さに驚いた。
しっかりした政治背景があるにも関わらず、敢えて抽象化され普遍性を持っている。とても寓話的。
最初は何を見せられているのか分からない不安と、兎に角綺麗なコロンビアの高原の風景に圧倒される。
夕方の高原、最初の戦闘シーンの照明弾、水等、兎に角絵がズッと綺麗。
後半の緊張感が物凄く、主人公がとある家族に匿われるくだりは、裏切り者を探す他のモノスたちとカットバックで映される度に安堵をもたらす。しかしそれも束の間の話で。
言わずもがな「地獄の黙示録」を想起したが、本作のドキュメンタリータッチは、また別の凄みをもたらす。
全体通して、どうやって撮ったのか定期的に気になる。クライマックスに関しては圧巻の一言に尽きる。
そしてエンディングの宙ぶらりんな感じと、ラストショットで涙目の主人公がカメラ目線に訴えている事を考えずにはいられない。
YohTabata田幡庸

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