shima

100億人―私達は何を食べるのか?のshimaのレビュー・感想・評価

4.0
食料問題に対しての切り口がいくつもあって、単純に人が増えた分効率よく沢山作ればいいわけではない、と勉強になりました。

・大企業による交配種作成の問題
・大企業による農家(労働力)、土地の買収
・家畜の工業式育成に伴う問題
・農産物の人工肥料問題

私が覚えている限りでもこれだけの問題があり(作品内では付随して枝分かれし、もっと沢山ありました)よく耳にする交配種、遺伝子組み換え品種の問題についても詳しく解説されており、結局どの道を選んでもどれか問題が引き起こされるのだ、ということを学べました。

遺伝子組み換えの交配種問題だけ切り取っても、従来から存在する種は洪水や干ばつなど自然災害に強いが交配種ではそうはいかない。交配種には人工肥料が必須であり、それは例えば山から削り取った成分でありその資源は有限でいつか尽きる。しかし現状の人口増加、需要に応えるには成長の早い交配種が不可欠。

その一瞬だけを切り取れば交配種で賄えたとしても長い目で見ればコストがかかってもその土地の種で賄っていけなければ終わりが来てしまう。

この作品ではそんなどん詰まりの多数の問題に対して1つの答えを提案してまとめていたのが良かったなと思います。

本来あるべき理想の姿で作成された畜産・農産は工業式で作られた効率重視の格安品に比べて4〜5倍の値段と考えると、工業式で作られたものがなければ食物は富裕層だけが得られる物になってしまいますよね…。

現在の生産・物流の形が悪いとは言いきれないのであくまでも、この作品を作った監督の一意見として参考にしたいと思います。
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