このレビューはネタバレを含みます
時間が経つほど後からじわじわと沁みてくる映画です。
素直に良い作品です。
構成が上手いのでしょう。前半のストーリーが後半の妹の言動一つ一つに深みを持たせています。丁寧に作られていて好感が持てます。
前半部はギャッツビー メソッドですね。
たいがいの人はある程度の挫折を味わうものですが、なかなかこれは決定的出来事までの過程にリアル感があり、まぁあそこまではいかないとしても、学生時代の自分と、どこかしら共感する部分がある人は多いのではないでしょうか。
全体的に暗めな光り使いで落ち着いた雰囲気やセリフも抑えめで、差し挟まれるラップによって内面を補っているあたりが、今の若者に受けるのでしょうね。
ところどころミュージック・ビデオ的な編集もあり、初期のD.フィンチャー作品を思い出させます。
特に後半の妹のストーリーは、こっちも危なっかしいなぁ、とヒヤヒヤさせる中にも、お互いに補い合いながらの愛し合いぶりは、こちらもまた若者達の共感を呼ぶでしょう。
また観たいと思う、よくできた傑作と言っていいでしょう。