ノラネコの呑んで観るシネマ

WAVES/ウェイブスのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.6
愛が全てを包み込む。
高校のエリートアスリートとして将来を嘱望されている兄と、その影に隠れた妹の破滅と再生の物語。
全てが順風満帆だった学園のヒーローの人生は、故障というたった一つのきっかけからはじまった負の連鎖により、みるみる崩れてゆく。
物語そのものは、めちゃくちゃヘビーではあるものの特に新鮮味はない。
これは映像と音楽という二つのウェイブによる、ストーリーテリングの未見性を味わう映画。
前半は兄が、後半は妹が主人公となり、それぞれの心象を決まりすぎなくらいピッタリな楽曲が描いてゆく。
基本的に前半は破滅編、後半は再生編として綺麗に分かれているのだが、アスペクト比がビスタ→額縁のシネスコ→スタンダード→額縁のシネスコ→ビスタと変化する。
ドランみたいに心象にそのまま紐付けている訳ではないが、前半後半の視覚的なミラーイメージを強化する作り。
”プレイリストムービー“なんてキャッチコピーからは想像もつかない痛々しい映画だけど、さすが「イット ・カムズ・アット・ナイト」で見事な寓話性を見せたトレイ・エドワード・シュルツ。
物語と映像と音楽が三位一体となる、なかなかの力作だ。
ブログ記事:
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