白波

WAVES/ウェイブスの白波のレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.0
プレイリストムービーといわれた本作。
何でもリストを組んで、そこから脚本を作り上げたらしいですね。
だからか楽曲のこだわりは強く感じます。
まぁ音楽ジャンル的には正直好みかというと、決してそうでも無いんです。しかし物語には実にフィットしていました。
特にそれぞれの内面や置かれた状況をとても良く表しており、時にはそれは台詞の代わりにもなっているようでしたね。
そして目まぐるしく回るカメラワーク。
力にあふれ無軌道で何処か危うげ、そんな彼らの世代をよく表していたと思います。
また色彩も鮮やかで美しく、所々に挟まれる波のようなグラデーションも効果的でした。何というか嫌みの無いセンスを感じます。画角変えてくるのもすごかった。
作品は起承転結のようなテンポではなく、大きく前後に切り分けた構成が新鮮で、そのじっくりとした見せ方は後半にとても効いていました。
また楽曲だけでなく、劇伴自体も良かったです。
ただ豪華なアーティスト達が話題になっているので、BGMだけのサントラは出なさそうな気がしますね…残念。
それにしても全編を通して楽曲の使い方は本当に秀逸で、レディオヘッドの入れ方とかこれ以上無いくらいでした。
最後は「Sound & Color」、この作品全てを表しているようでしたね。
そんな素晴らしい楽曲達が散りばめられた作品ですが、個人的に一番印象的だったのはエイミーでした。
歌の内容のマッチングもですが、入れ方とあの切り方。
とても強烈でした。
物語は基本とても重いのですが、後半のゆっくりと夜が明けてくるような感じが少しずつ心を軽くしてくれるんですね。
そうして訪れるラストシーン、時間にして1分程だと思います。たったそれだけの時間ですが、そこで見た虹はそれはとても美しく、気がつくと心が満たされていました。
寄せては返す音と色彩、素晴らしい作品でしたよ。
白波

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