予告編はとにかく映像美とサントラ推しに終始していてストーリーがよくわからず、しかもちょっと調べたら「イット・カムズ・アット・ナイト」の人の新作だと言うから、さらにどんな映画かイメージしづらかったんですが...フタを開けてみたら、モチーフ/テーマ等、思いのほか前作と共通項の多い、いわゆる作家性の強い作品でした。
勿論、ジャンル的な設定や演出が前面に出た前作とは、表面上のルックや世界観はまったく違い、あくまで現代のフロリダの日常に立脚して話は進むんですがね。
ハイティーン男子と父親との相剋、血縁を巡る葛藤、マチズモと女性性の対立など、物語の中心を貫くコア要素は、ほぼ同一と言って差し支えないか、と。
そして静から動へ極端に振れたかに思える音使いも、そのキレの良さやコントラストの巧妙さにおいては、やはり従来通りと感じられたりしてね。
メッセージの落とし所としては、ある意味めちゃくちゃベタというか、言うたら宗教的なニュアンスも漂う死生観に帰着していて、それをこういうフレッシュな表現でやってのけているのが、トレイ・エドワード・シュルツ監督の特徴点かな?
個人的には主人公父子のモラハラ的関係性もさることながら、後半に出てくる妹彼氏・ルークくんとその父との顛末がシンクロ率高すぎて、しんどかったっす。身につまされるなぁ、まったくもう。
ヒップホップがメインなんで詳細は指摘できませんが、確かに音楽もイケてますし、役者の繊細な演技も見どころとして機能。
中でも後半の主役である妹・エミリー役のテイラー・ラッセルは、大いに存在感を示していて、監督共々今後が楽しみです。