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グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇のshishiraizouのレビュー・感想・評価

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太宰治の未完の原作は、二人目の愛人、橋本愛のエピソードのさわりくらいで途絶えていて、そのあとがオリジナルということになる。怪力女の家にゆきカラスミで飲むくだりが、原作からのボリューム的には最大のエピソード

何か、全てがうまくいっていない印象。損得勘定の経済的システムが関係性をカクカク進行させる、奇妙な喜劇だった原作が何故か大仰で普通のラブロマンスに。
そして三丁目の夕日病というか、ナンジャタウン/ラーメン博物館などのレトロミュージアム的な、オレンジに染めとけばあの時代だろといった作法はたいがい、次第に空気が死んでセット撮影のNHKドラマふうな澱んだムードが漂いだす

男振りのよい好男子、という主人公の設定。大泉洋ではないだろうとは思うが、主観人物としてシャレで良いのでしょう。しかし、常に女から寄ってきて、自分から行ったことのない男が、はじめて気のない女を押し倒すのに緊張感がまるでないのはどうしたものか
同じく、緒川たまきや橋本愛を遥かに凌ぐ「すごいほどの美人」という設定に小池栄子。納得するのが困難だ。とても真面目な演技には聴こえないダミ声の演技設計、原作に声の悪い「鴉声」とあるから仕方ないのかとワザトラシサ満点の喋りに違和感引きずりつづけるが、終盤には普通に小池栄子のトーンになっている。地声設定じゃないなら一体なんなんだと

緒川たまき、クネクネねっちょりした、魂のないササッとふざけた演技

さて橋本愛さん。レトロな洋装、青い帽子、やわらかいしっとりした声音の橋本愛さん。大時代的なしゃべりかたの「変態性欲者です」という台詞を堪能できます。終盤の困ったようなダンス場面は小っ恥ずかしい・・
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