アル中で癇癪持ちの母親を介助している娘が、兄弟を集めたクリスマスの夜に、正体不明の殺人鬼を呼び込んでしまう。人畜無害なシットコムの対極を描いている、低予算ホラー・コメディ。
性的抑圧を抱えている末娘を中心にして、多種多様な境遇に置かれている兄弟たちが、不倫、同性愛、堕胎、近親相姦といった、カオス空間を構築させていく。全体的に、"その時代におけるカウンター精神"を楽しむための作品、という印象が強い。
未審査の深夜興行作品ということもあり、女優のヌードがバッチリ収められているところも醍醐味。性的マイノリティの逸脱と破綻がグロテスクに描写されており、「人間の本質を描くためには、性愛描写が必要不可欠」ということが伝わってくる。
殺人鬼の暗躍描写も、当時としては責めたものになっているため、しっかりと「怖いもの見たさ」が駆り立てられる。ちなみに、アンディ・ミリガン監督はゲイなのだが、本作の撮影中に主演女優キャンディ・ハモンドと結婚、翌年離婚している。