ダミアン君に恋してる

グレーテル&ヘンゼルのダミアン君に恋してるのレビュー・感想・評価

グレーテル&ヘンゼル(2020年製作の映画)
3.6
うわぁ~♡オズグッド・パーキンス監督じゃん!GEO先行レンタルにあると知って、いてもたってもいられず借りてきちゃった♪

『フェブラリィ 消えた少女の行方』『呪われし家に咲く一輪の花』があって、この『グレーテル&ヘンゼル』か――

グリム童話で有名な『ヘンゼルとグレーテル』を大人向けにアレンジしたファンタジーホラー。主演は『IT/イット "それ"が見えたら、終わり。』のソフィア・リリスちゃん、魔女役は『サイレントヒル』のアリス・クリーグさん。

『サイレントヒル』を鑑賞しまくってる私からしてみたら、アリスさんが魔女役とか凄く美味しい。彼女が演じた狂信者クリスタベラは魔女狩りする役柄だから、真逆なんだよね。面白い!彼女の不気味で妖艶な雰囲気がすごく好き。今作でも間違いなくそれが生かされている。

ソフィア・リリスちゃんは言うまでもなく可愛くて童話の世界にピッタリだし、今まで思っても見なかった彼女の中性的な魅力に気づかされた事が大きかったかな。また髪型がベリーショートなことで幼さが出てたように思う。

それに、重要人物である桃色の服の美少女を演じたのはオズ監督の実の娘さんなんだって!?まじ?むっちゃ可愛いんだけども~♡名前はベアトリクスちゃん!名前まで可愛いとは…それだけに本作は特別感が満載だぁぁぁあ!

物語の残酷さは控えめ。案外マイルドで見やすい。グロい画はあるけど一歩手前でとどまってるような。

そんでもって前向きなメッセージ性に影を落とすわけよね~。心がざわつく。好き…そういうの。

ハリー・ポッターと一緒かなって思った。全く同じ力を授かりながら善と悪に分かれるもの。生かすも殺すも自分次第。呪いにするか希望にするかは、自分の素質と自身の選択に委ねられているってことなのよ…

深い森に霧が立ち込める様子や、家の中の薄暗さなどがダークファンタジーっぽさが出ていて良かった。薄気味悪いビジュアル作りは本当に凝ってて、額に入れて飾りたい綺麗なシーンがたくさんある。

オズ監督のホラーはある種の静けさ(恐さ)があるよね。残酷な世界でただ一人、瞑想をして精神が堕ちてゆくみたいな…

私には子守唄みたいな心地よさがあった。なんか頭がボーっとなる。退屈で眠たくなるのとは違う、催眠にかかったような不思議な感覚。

これって映画の世界へ入り込める良作ってことで良いのかな。

なんというか本作って、表面的には「面白い!」って言いきれないまでも、それに反してちゃんと確立してる世界観が興味を煽ってくるところがあって、だから画面から目を離せない。

夢遊病ちっくな質感が印象的でゾワゾワ来るし、盛り上がりをあえて抑えてるような作風にこそ感性が痺れる。芸術的な完成度は高いのに、そのハードルの高さゆえに自分の才能の乏しさでは完全には理解が追いつけないという悔しさともどかしさがある。

オズ監督の弟エルヴィスさんの作る音楽も本当に独特だから、お兄ちゃんの作る映画がこういう感じなのも凄く納得がいく!また兄弟で映画作ってくれないかな~。『フェブラリィ~』はエルヴィスさんが音楽を担当されてるんだよね。あっちもまた再鑑賞したくなってきた♪

オズ監督の創り出す独特な世界観をもっともっと見てみたい。何より、父アンソニー様のDNAがこうやって活躍してくれていることが、ただただ嬉しい♡

映像芸術を味わえる一本として、心に留めておきたい作品*☆