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花と雨のOLNのレビュー・感想・評価

花と雨(2019年製作の映画)
3.8
待ちに待ちました。東京の公開から1ヶ月遅れて、福岡でもやっと公開です。

高校生の頃から今に至るまで、何度も何度も繰り返し聴いたアルバムの映像化ですし、制作にSEEDA本人も関わっていて、ヘッズの俺にとって良くない訳がない!

笠松さんは、ラップもしっかり聴けるレベルまで昇華できていて、少しヤサグレた雰囲気なんかもバッチリな好演でした。

姉ちゃん役の大西さんも、人生に憤りを感じていたり、精神的にまいってる雰囲気がしっかり伝わる演技でした。何より美人。

邦画は映像が残念なことが多々ありますが、本作はとても綺麗で、日本でもしっかりした画が撮れるんだなと再認識しました。

ここからは内容と、リリックに触れます。

BESと思われる別所くんとのフリースタイルで、劇中で初めて、SEEDAの考えていることが、本人の口から発されます。
i-deaと思われる相田くんに当りが強いのは、え?そんなにバチバチしてたの?と思いましたが、多くは語らず、ラップで表現するあたり、ラッパーだなーと思う瞬間です。

後にDAYDREAMINGとなる「Tokyo city in Dream 俺は空虚」を巡る、姉ちゃんとの何気ないやり取りもじんわりきました。
帰国してから、何も無かったんです。俺にはラップがあると思ってたのに、セールスは鳴かず飛ばず。現実見たフリ理想の塊なんて言われて、夢も自信も薄れたのでしょう。

そして、LIVE and LEARN凄く好きなんですよね。
「1980 練馬に生まれ ひばりヶ丘団地 記憶の先へ」に身体が反応してしまうのは、ヘッズの性です。
姉ちゃんの部屋で涙を流しながら書く経歴書は、しっかりヘッズの心を捉えました。内定いくらでもくれてやんよ。

最後のRECシーンは、ニヤニヤが止まりません。
「親と喧嘩してよくキレてたな 機嫌が良い時は一服したよな もっと話すことあったって 逝っちまって気付く俺はマジ馬鹿だな」
この冒頭4小節が本当に大好きです。今を大事にしなきゃいけない気持ちにさせてくれます。
喧嘩、一服、嫌いな犬とか、映像化されることで、より理解できました。
姉ちゃんが終わりのないララバイで眠ってからしか知らないので、こんな感じの人だったと解説してくれて嬉しい限りです。

「長くつぼんだ彼岸花が咲き 空が代わりに涙流した日 2002年9月3日 俺にとってはまだ昨日のようだ」
この表現のリリカルさに、当時打ちひしがれました。
日本のヘッズ達は、SEEDAの誕生日なんか知りませんが、姉ちゃんの命日なら全員知っています。
あくまで吉田視点で見たものを描いたからか、少し掘り下げ不足を感じますが、当たり前にあると思っているものなんて、無くなってからしか有り難みに気づきませんからね。実際そんなもんだったのでしょう。

ちょっと惜しいなと思うことですが、皆んな命日は知ってるんだから、日めくりカレンダーとか、携帯電話の画面とかを使って、日付を判り易くして欲しかったです。
あー、もうリミットがー!!という気持ちに駆られたかった。

あとは、「盗んだバイクは走らない」を映像化して欲しかったなー。

脚色は多大にあるでしょうが、良い作品でした。
皆様、是非アルバムを聴いてから鑑賞されてください。