MASH

ガンズ・アキンボのMASHのレビュー・感想・評価

ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)
3.0
『キック・アス』みたいなノリを『NERVE 世界で一番危険なゲーム』みたいな設定上でやってみた、と言うのが率直な印象。ネットで荒らしをするしか趣味のない男が、それが原因で銃を両手に固定されデスゲームに参加させられると言う、軽く観るにはちょうどいい内容。ダニエル・ラドクリフが徐々にいろんな映画に出るようになったのは非常に嬉しい。

前半はちょっと変わったビジュアルを楽しめるし、軽いノリでありながらネット社会の下らない部分を大袈裟に描くことに面白さを見出している。そして何よりダニエル・ラドクリフがいろんな役に挑戦している様子が見れる。だが、後半になってくるとそれぞれが見事なまでに噛み合わなくなっていき、最終的には無理やり平凡なアクション映画のオチに持っていくしかできなくなっている。ぐるぐる動き回るカメラワークもだんだん鬱陶しくなっていき、爽快さだけで無味なアクションにも飽き飽きしてくる。あと悪役はもうなんか色々酷い。目的もキャラもブレブレ、というか迷子状態のまま終わるのでただの大袈裟なおじさんになっている。

設定やビジュアルは悪くない。コメディもバイオレンスなアクションも比較的楽しめる。主人公もある程度好きになれるキャラだ。なのに、後半になるにつれ興味がそがれていく。なんだか味がすぐなくなるガムを食べているような気分だ。おそらく緩急が存在しないのが問題だろう。最初から最後まで一定のテンション、一定の盛り上がりで、ここが好きだと言えるシーンが少ない。強いて言うならホームレスのおじさんとの会話くらい。

明らかに『トゥルーマン・ショー』を意識している部分があるが、ノリの良さやとっつきやすさを意識するがあまり、そういう皮肉的な部分が端に追いやられてしまっている。まぁ『トゥルーマン・ショー』と比べるのは違うと思うし、この手の映画で説教臭くなるのが一番最悪(『NERVE』はそんな感じだった)なので、こういう形になるしかなかったのかなとも思う。久々の映画館ということもあっていつもより少し楽しめた部分もあるのかも。
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