Jeffrey

ガンズ・アキンボのJeffreyのレビュー・感想・評価

ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)
3.0
「ガンズ・アキンボ」


冒頭、冴えないプログラマーの男、両手に2丁拳銃、くそリプ、生きるか死ぬかのバトルゲームに強制参加。恋人を救うため戦う。ブロンド女子登場、フィギアの数々、ホームレス、刺青だらけの男。今、オタク偏差値が重要視される物語が始まり、圧倒的火力で死闘のゲームが始まる…本作はイギリスとニュージーランドで合作されたダニエルラ・ドクリフ主演のぶっとび映画で、監督はジェイソン・レイ・ハウデンで、製作総指揮に13人も名をあげているビデオ・ゲーム・オタクの末路が淡々と描かれている作品で、ラドクリフの俳優人生の方向性を安否してしまうほどの途中からアストロン6のチープ感を彷彿とさせる映画だった。この作品はラドクリフの両親がとても気にいっている作品だとのこと。今思えば「スイス・アーミー・マン」では死体になりきり、「グランドイリュージョン」では正統派から悪役へと転身し、「アンダーカバー」で白人至上主義のスキンヘッドを演じたり、多種多様な役柄に挑戦して、どうにか「ハリーポッター」のイメージを脱ぎ去りたいのか…その頑張りが見えた1本でもある。

コメディー要素とバイオレンス要素を融合させた秋葉原のオタクも黙るスーパーオタク映画で、この黄金比率がたまらないのである。とりあえず脚本を見て速攻で決めたんだろうなと思ってしまうほどラドクリフがこういった馬鹿げた作品を好んで選ぶのにはやはりハリーポッターを抹殺したいと言う意識があるのだろう。もはやここまでくるとキャリアからハリー・ポッターシリーズをなくしたい気持ちもあるんではないだろうかと思ってしまう。そのうち自分で脚本してハリーポッターVSダニエル・ラドクリフ的なVSジャングル映画を作っていそうだ(笑)。彼ならフルスロットルでやってのけるだろう。私は幸いなことに(そんなこと言うとフィギアを集めている人に怒られてしまうかもしれないが)フィギアオタクではないため、この作品の主人公の気持ちが100%わかったわけではないが、昔からヒーローに憧れていて、アーノルド・シュワルツェネッガーやスタローンなどに見せられているその青年が摩訶不思議な世界へと入り込んでしまうのだが、プレミアのフィギアを集めるとすぐにお金がなくなってしまい、人付き合いが悪くなってしまうようなものなのだろうか、映画を見てそう感じた。

というのも、自分の友達に極度のフィギアオタクがいて、誘ってもほとんど家から出て来なくて、おごりなら飯食いに行くと言う輩がいるのだが、なんでお金使わないのと言うとフィギアに費やしたいからと断るのだが、ちなみに彼は365日カップラーメン(他のものも食っているとは思われるがさすがに)で生きている男だ。だからこの作品のラドクリフ演じるマイルズ青年もそのような感じだったのだろうかとついつい映画を見ながら私の友達を想像していた。しかもその友達のフィギア同様にゲームオタクでファースト・パーソン・シューティングをやっている分で思いっきり主人公の男と重なって見えてしまったのだ。だがマイルズのようにくそリプを書いたり、酒浸りになったりはしない。これは断って言っとく。彼の名誉のために。そんでこの作品は2丁拳銃を持ったマイルズが街に強制的に繰り出し、暴れまくる映画なのだが、その2丁拳銃は痛々しく釘でガッツリと固定されて血まみれなのである。ズボンも履けないし、自分で飯さえも食えないのだ。劇中で、ホームレスに8ヶ月前のホットドッグを食べさせてもらおうと思っても、彼は食べさせてくれず、拳銃の先を使いホットドックを食べる始末だ。

しかも彼はベジタリアンでは健康的な食材は無いのかと言っていたが、これはブラックジョークだろうか、人間危機的な時に目の前にあるものを食べろと監督が言いたげのような、こう言ったベジタリアンもしくはビーガン的な輩に対して皮肉交じりに言っていたのかもしれないと考えると笑えて仕方がない。それにしてもここまでダサイオタクを見たことがないと言い切れるほど冴えないオタクである事は間違いないが、腐っても主人公はそこそこイケメン(そこそこなんてつけるとファンには怒られるかもしれないが)ラドクリフが演じている分、冴えないオタクであっても、キモイオタクには到底見えないのだ。そこがまたなんとも滑稽でギャップがありよかった。そんで冴えなくてもシニカルなジョークをぶち挟んでくる才能はあるようで(といってもオタク偏差値やゲームお宅でないとほとんど意味がわからないような演出があるためそこは残念ではあるが)、主人公視点で物語が佳境へと進んでいくのはよく考えられていると思う。

そもそも子役時代からハリーポッターを始め引っ張りだこだったラドクリフが果たしてゲームをやっているのだろうかと言う疑問がまず真っ先に頭にくるのだが、この際そんな事はどうでもよくて、彼がこの作品を通してゲームオタクになってくれることを心の底から願いたいと思う…といっても私はゲームをやらないし、ゲームが好きと言うわけではないので、ここら辺はもはや適当に言っている(笑)。正直レビューなんて適当で良いのだ。何せこの映画自体が適当の極みなのだから(褒めている)。そもそもパンツ一丁でだらしがなく街を駆け回るルーザー(負け犬)のマイルズが、クライマックス付近で最強の女戦士のニックス(女戦士と言う部分は私が勝手に付けている)と共に、かちこみに行くところとかも爆笑してしまう。今の今までびびっていた彼が、最後は総合格闘技並みの生きるか死ぬか、ピート・バーンズのデッドオアライブが劇中で流れていたが、まさにそれを意味する言葉は"生きるか死ぬ"かであり、敵に銃弾を打ち込まれたら即ゲームオーバーだ。

ここでは、ゲームオタクの代名詞の1つスーパーマリオブラザーズを引用しているのかもしれない。そもそもどこかしらアジアンチックなビジュアルの持ち主である名前は全然知らないが、ピンク色の髪をした女優(マイルズの恋人)を助けに行く物語も半分待っているが、それはマリオがピーチ姫を助けに行くと言わんばかりの構造ではないだろうか。と言う事は、あの刺青だらけの男がクッパなのかと思ったが、やせぽっちでクッパのようにふくよかではないため、それは違うんだろうなと思いつつ、構造は間違いなくマリオなんだろうなとも思う。何が何だかごちゃごちゃしたゲームのキャラクターだったり、要素が入り込みすぎてまるで別の宇宙を見ているかのようになってしまうのだ。きっとマイルズもそう思ったに違いない。その他にも色々と映画のオマージュが入っているが、それを言うとネタバレになるし、嫌味っぽくなるから言わないが、この映画を劇場で見てあーあの場面はあの作品のオマージュか、などとぜひ個人で楽しんでほしいと思う。少なからず、ゲームを知らなくても映画好きな人は楽しめるんではないだろうか。といっても2度見ると言われたら絶対に見ない映画だが(笑)。

でも逆に、2度目3度目と見ていくと他にもいろいろな映画の作品を取り入れているんではないかと言うことにも発見できるためなんとも難しい回答だが、私個人はもう見る事は無い。ただラドクリフのおち◯ち◯が、一瞬見えるトイレでのしょんべんする場面は笑えた(彼のものでは無い事は100%)。それにしても嘔吐する映画と言うのは、散々な目に主人公はあるなと改めて思う。毒毒モンスターも真っ青と言うべきだろうか…とにもかくにもラドクリフの渾身の力作と言えるだろう。彼にはもっと頭のおかしい映画に出て行ってもらいたい。もう僕をハリーポッターのポッターとは言わせないと言わんばかりにファイトだ!監督曰く、この作品はもともと脚本を書いていないまま、エージェントにこのような内容があると言って、脚本を見せてくれと言われて、とっさに嘘をついて、あと2週間手直しとかでかかるからと言い、自宅のメルボルンに戻ってスターバックスに駆け込んで2週間で書き上げたそうだ。しかしながら結局なんだかんだ6カ月間映画作りに入るまでにかかったそうで、撮影自体は40日間だと言う。

さて、物語はマイルズ・リー・ハリスはうだつの上がらないゲームプログラマー。会社では上司のパワハラを受け、ガールフレンドのノヴァとは最近別れたばかりだ。憂さ晴らしの為、ネット掲示板や動画配信サイトに過激なコメントを書き込むクソリプを繰り返す日々だった。ある日彼は参加者の殺し合いを生配信する人気サイト"スキズム"に攻撃的な書き込みをして、サイト管理する組織のボスのリクターを激怒させてしまう。IPアドレスから住所を特定され襲撃されたマイルズが目を覚ますと、信じられない光景が、、、両手にボルトで拳銃が固定されていたのだ。そしてリクターはマイルズに強制的にゲームに参加させ24時間以内に最強の殺し屋ニックスを殺すように命じられる…と簡単に説明するとこんな感じで、



いゃ〜、最初のシーンはドローンとかをうまく活用してキレキレのカメラワークで一回転させたり面白かったが、途中からカット割が多くなり、予算がなくなったのかなと観客に思わせてしまうほどの変わりようにびっくりするのと、ラドクリフが履いているあの怪獣の足のようなスリッパに目がいってしまう…。てか2021年に見てるけど19年の作品でわりかし時が経っているなと思った。ニックス役の女優さんがすごいインパクトのあるクールでキュートな悪役的な立ち位置で頑張っていた。あのロッキーの中指のものまねなど笑えるし、ラドクリフ演じた主人公の部屋にウルトラマンのフィギアがあったり、ランボーのポスターとかがあって映画ファン的にも周りのアイテムコレクションを眺めるのは楽しめた。監督の前作の「デビルズ・メタル」も結構なバイオレンスシーンがあったから本作同様にばかばかしいため、そこまで批判(暴力に)的には映らなかったのだろう。どうやら監督は自分の家で、マイルズが強手に拳銃を固定されたように、自宅にあった水鉄砲2つを自分の手にガムテープで貼り付けて飲み物やドアノブをそれで試したそうだ。ちょうど帰宅した奥さんにあなた何してるのと驚かされたそうだ。

そんでスタローンのポスターに拳銃の弾を撃ちつけたかったらしいのだが、弁護士に断られて、額縁にしろと言われてそっちにしたそうだ。話は変わって、ニックスを演じた女優の眉毛を金髪にして、レザージャケットにパンキッシュなビジュアルがすごく気に入った。多分どっかの映画で見ているんだろうけど、今回初めてじっくりと堪能した女優さんだった。まだきっと若いだろう。ここ最近のラドクリフは不精髭を生やしていて、幼いビジュアルをなんとかごまかしたいのだろうかと思いつつ、この作品の刺青だらけの男がヴォルデモート卿にも見えてきて、ハリーポッターから抜け出せない自分がいた。なんか久々にハリーポッターを見たくなり、先日ブルーレイのボックスを購入してしまった。かといって今すぐ見ようとは思わないが、近々見直そうと思う。
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