むらむら

ガンズ・アキンボのむらむらのレビュー・感想・評価

ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)
5.0
煽られ耐性なさすぎのオッサンに拳銃を縛り付けられたオタクが、ターミネーター化したアヴリル・ラヴィーンと戦う話。

普段から何も考えていない俺が、さらに何も考えない95分を過ごすことの幸せ!

スマホゲーム会社で働くマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)は、自宅でネット荒らし行為をするのだけが生きがいのイキリオタク。マイルズは「スキズム」と呼ばれる、本物の殺し合いを鑑賞するサイトにハマり、クソリプでの荒らし行為をエスカレートさせ、管理人リクター(ネッド・デネヒー)の逆鱗に触れる。朝起きたマイルズは両手に二丁拳銃を縛り付けられ、「スキズム」で最強の殺し屋、ニックス(サマラ・ウィーヴィング)と死闘を繰り広げさせられるハメに……。

すっごくキャラ推ししたくなるインパクトの強い主要三人の登場人物。主役と悪役、ヒロインの対比がしっかりしてる。

役者陣も全員、とっても楽しんで演じてて、観ててとことん気持ちいい。

・主人公マイルズ(ダニエル・ラドクリフ)

両手に拳銃を括り付けられて「ガンズ・アキンボ(二丁拳銃の男)」になってしまうマイルズ。

俺は未だにダニエル・ラドクリフとイライジャ・ウッドの見分けが付かないバカなのだが、変な役ばかりなんだけど、確実に演技の幅を広げる役に挑戦してるのはダニエル・ラドクリフに軍配があがるよなー、って思ってる。この作品もそう。

前半は、両手に拳銃を溶接させられ、些細な動作すら満足に出来ない、という描写が続く。

服を着る、トイレに行く、スマホを操作する、家から出る……。

そんなマイルズの悪戦苦闘に、俺たちが如何に「両手」というものに頼って生きてるかを痛感させられる。

ダニエル・ラドクリフ、モッコリブリーフ姿で情けない主人公の姿を熱演。関係ないが、トイレ行くシーンでアキンボのオチ○ボが一瞬映っていた気がするが、さすがに偽物だよね!?

後半のマイルズの成長ぶりもお約束の展開ながら、見応えあり。漫画「コブラ」みたいにぶっ放す両手のサイコガン……じゃなかった拳銃も、ちゃんと残りタマ数がカウントダウンされる親切設計。ゲーム画面っぽくて楽しい。

関係ないけど、ポスターのマイルズ、この煽りAAに激似だと思った。

((ヽ三/)   (ヽ三/))
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( </ (● ●)\> ) <バーカ! バーカ!
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こんな顔してたら、そりゃスキズム管理人も怒るよね!

・スキズム管理人 悪役リクター(ネッド・デネヒー)

次に紹介したいのは、マイルズを過酷な運命に突き落とす、沸点の低いスキズム管理人、リクター。演じるのはネッド・デネヒー。「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」でも共演してる(アルダートン役)。

やはり、まず印象に残るのは、顔中に入った刺青。ローリング・ストーンズのアルバムかアルフレッド・ベスターの小説から出てきたような特徴的な風貌。そのわりに何でそんな顔になったのか説明は皆無。そんな割り切りの良さもいい!

部下にモヒカンとかラバーマスクとか、「北斗の拳」に出てきそうな悪そうなヤツばかり集めてるのも小物っぽくて素敵。 後半、部下に無理難題押し付けすぎて、完全に劣勢に回ってるの笑った。パワハラ上司なところも良いキャラ(この作品にはもうひとりパワハラ上司が出てきますが)。

世界中に「スキズム」のフランチャイズを広げたい! っていう間違ったアントレプレナーシップを持ってるのも今っぽくて良いし、

「あんたどれだけ廃墟好きなの?」

ってくらい広大なアジトを持ってるとこも俺的にはツボ。悪の道一筋。面白い台詞言いたがり。めっちゃキャラ立ってる。

「今回のバトルはお前のおかげで1000万人が観てるぜ!」

ってマイルズに言うシーンあるけど、ぶっちゃけ、半分くらいお前のファンだと思うよ!

・影のヒロイン、殺し屋ニックス(サマラ・ウィーヴィング)

最後に紹介するのは、殺し屋ニックス。1000万人のうち半分は管理人リクターのファンだと書いたが、1000万人中1000万人が、凄腕女流殺し屋・ニックスのファン(含む俺)なのは間違いない。

俺もいますぐスキズムに参加して、ニックスに一瞬でブチ殺されたい!

この作品を観終わった人は、誰もがそんな感想を持つに違いない。

冒頭で書いたように、

「風貌はアヴリル・ラヴィーンかハーレイ・クイン、能力はターミネーター」

のニックスを演じるのはサマラ・ウィーヴィング。「マトリックス」シリーズでお馴染みヒューゴ・ウィーヴィングの姪。「ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!」に続き最高でした。

「お前武器商人かよ」

って言いたくなるくらい、ありとあらゆる重火器を街中で、所構わずぶちかますヤク中。「ファック!」を連発し、悪人の股間を確実に狙うヘッドショットならぬタマショットぶりに拍手喝采。小ネタだが、ニックス、「ハリー・ポッターと死の秘宝」の入れ墨が入ってるそうです。

先日まで日本ロケやってた「G.I.ジョー・漆黒のスネークアイズ」にも出演するらしく、こちらも絶対に観にいくことに決めた。共演はイコ・ウワイスと「クレイジー・リッチ!」の、さほどクレイジーじゃない御曹司役を演じたヘンリー・ゴールディング。俺得!

ん? ヒロインはもう一人いる……!?

あぁ……そう……(無関心)。

・・・

三人の登場人物に加え、音楽のチョイスも良い。サイプレス・ヒルやイギーポップ、デッドオアアライブ、リック・ジェームス(MCハマー「U Cant Touch This」の元ネタ)など、要所要所にオールドスクールな曲をハメてくれる。

陰キャオタクが大活躍する作品は基本的に大好物な俺なので、この作品も俺内で大ヒットだった。
何も考えずに映画を楽しみたい人にはとってもオススメです。

映画館を出た瞬間、「ガンズ・アキンボごっこ」をしたくなったので、両手に大根を括り付けて、ブリーフ姿で作中のようにサウナに出かけて「スキズム」の中継を観に行ってくることにします。

大根なので拳銃のタマは出ませんが、別のタマは無防備にブラブラさせてますので、できれば街中でニックスちゃんにお仕置きされたいです!
むらむら

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