takanoひねもすのたり

ダンサー そして私たちは踊ったのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.5
旧ソビエト連邦の構成国だったジョージアが舞台です。

国立舞踏団に所属するメラブ。
ダンスパートナーのマリとは幼い頃からの付き合いで、お互いに何となく好意を抱きつつ、まだ清い関係。
舞踏団に新しく入団してきた青年イラクリ。
最初は反発したメラブだったが段々とイラクリに惹かれるようになり…というBL恋愛物。

ざっくり北にロシア、南にトルコという位置からか、舞踏は少しコサックダンスにも似ていつつ、中東風味も加わった感じ。
そして、性に関しては保守的で、同性愛なんて周囲に知れたら「名誉の問題」になっちゃうんですね…差別が厳しい。
そんな環境の中で、メラブは自分の性嗜好を自覚してゆくのですが、この過程の彼の表情や描写がもう初々しいな!!!という感じで。

イラクリと一緒にいると楽しい、一緒にいたい、会えないと辛い、もう感情ダダ漏れの楽しそうな幸せそうなくすぐったい笑顔が…!

一方のイラクリですが一度はメラブに応えたものの世間体や婚約者がいることなどからメラブの恋情から引いてしまう。

失恋の痛手、周囲の目線、足の怪我、兄からの助言で街を出る決意をしたメラブは、最後の決意で舞踏のスタジオに向かう。

このラストのダンスシーンが「メ…メラブ…」となるくらいの気迫。
そして伝統衣装を脱ぎ捨ててドアを締める後ろ姿…ふっきれ、新しく生きろ、もっと生きやすい場所で…!とそっと声援。

マリちゃんがなかなか切ない役どころでしたが良き友人として好印象。
イラクリは一生「メラブ…」と思い出して苦悩するがいいのさ…わはは。