ポルりん

Mrs. Tomiko(原題)のポルりんのレビュー・感想・評価

Mrs. Tomiko(原題)(2017年製作の映画)
1.9
受験生は絶対に鑑賞しない方いい作品。


あらすじ
節子の40歳の誕生日の前夜に、40歳で他界した母が会いにやって来る。



よくハリウッド映画内で日本人がモブで出る場合、

「日本人の役をどうして中国系や韓国系の俳優がやっているんだ!!」

とか、

「カタコトの日本語がセリフが酷い!!」

とか、

「あのエラの張り方は幾ら何でも違うだろ!!」

といった批判が飛び交う事が多い。
これは、役者の発音力という問題もあるが、映画俳優や芸能人の組合が強いハリウッド特有の問題が強いと思う。
ここら辺は大人の事情が色々と絡むので、仕方ないとは思うのだが、やはり観ている視聴者としては、どうしても違和感を感じてしまう。

しかし、それ以上に違和感を覚える事を本作はやってしまっている。
本作の場合は、

・物語の舞台→アメリカ
・日本人→日本人の役者が演じている
・言語→片言の日本語

といったパターンである。

もう意味が分からない!!
何で日本人の役者使っているにも関わらず、わざわざ片言の日本語で話すんだ??
舞台がアメリカだったら英語で話せばいいのに・・・。

まあ、でもね・・・。
登場人物が全員日本人なので、英語ではなく日本語で話すのも理解出来るよ。
でも、何で片言なんだよ!!
普通に日本語喋れや!!


節子(主人公)「アナタハ、イツモワタシノワルクチバカリイウノネ!!シンジラレナイ!!」


姉「アンタ、サイキンカレシトヤッテナインデショ??ダカラアソコガクモノスハッテンノヨ!!」


彼氏「セツコ、オマエサイキンオカシイゾ!!」


母親幽霊「トンコツラーメン!!」


ウソみたいだろ。全員日本人が演じてるんだぜ。これで…。

また、本作では舞台がアメリカから日本の京都(もしくは奈良)に移る場面がある。
物語の舞台が変わっても、相変わらず片言の日本語は変わらないので違和感だらけなのだが、それ以上に違和感を覚えるのが町人を演じているエキストラだ。
舞台が京都なら、普通はエキストラに日本人(もしくはアジア人)を選択すると思うのだが、本作ではなんと全てのエキストラが白人となっている。

一体どういう事なんだ??
かつて「千年の都」と呼ばれた京都に、何で主人公以外の日本人が一人もおらず、白人しかいないんだ??
日本の病院なのに、患者が白人しかいないし・・・。
どこかの異世界かな??


キャラクターの設定に関しても、不可思議な点が多々あるのだが、特に主人公である節子の設定が最も不可思議となっている・・・。
どうやらこの節子、子供の頃に名前が古臭いといった実にくだらない理由で虐めにあっていたようだ。
この事から節子と言う名前を付けた母親を恨み、アメリカに飛び立ち、その際に名前を変え、新たな生活を始め現代に至るらしい。

ここまではいい。
問題はアメリカで改名したはずなのに、他のキャラクターが節子に対して、


姉「セツコ!!」

彼氏「セツコ!!」

母親幽霊「セツコォォーーー!!」

モブA「セツコサン。」

モブB「セツコサマデスカ??」


あの・・・全ての登場人物が主人公の事を節子と呼んでいるんですが・・・。
一体どの部分を改名したんですか??
それとも何かの嫌がらせなんですかね??


他にも脚本・編集・ライティング・音楽など酷い点を挙げたらキリがないのだが、ホラーに関しても本作はなかなか酷い・・・。

本作は、幽霊が出すぎる点や例のベッドでのシーンなど、明らかに「呪怨」を意識した演出が見受けられる。
「呪怨」は、締まった画面構成・彩度を落とした映像など素晴らしい撮影技術、魅力的なキャラクター、斬新な演出など、Jホラーを代表する素晴らしい作品である。
この作品がここまで評価される要因は様々あるが、個人的には、実力のある監督やスタッフが、一歩間違えたら単なるコメディ映画になるギリギリを攻めた事が一番だと思う。
「呪怨」のヒット以降、幽霊をバカみたいに出現させ、安直な表現を多用する作品が増えたが、大半は実力のない監督やスタッフがやっている為、ホラー映画ではなくコメディー映画になっている。
そして、例にもれず本作もホラー映画ではなくコメディー映画となっている。

とりあえず、幽霊が頻繁に出現するのはまだ良いのだが、悍ましさや死臭漂う雰囲気などは一切なく、泥メイクをしただけのアクティブなババアなので微塵も恐怖を感じない。
というより、全く幽霊に見えない。
ただの五月蠅いババアだ。

節子が彼氏とSEXを楽しんでいるシーンがあるのだが、このババアはこんな情事にまで出現してくる。
まあ、これで2人に襲い掛かったり、節子に対して恨み節を吐くのならいい。
しかしこのババアは、


母親幽霊「アノオトウサンコガネェー、トンダアバズレニソダッタワ!!」


などと嫌味だけを言い、その場を立ち去っていく。
お前は範馬勇次郎か!!!
いや、確かに範馬勇次郎は、息子の初めての情事に勝手に立ち会い、不甲斐無い息子に説教をするといった地上最強にイカレた神経をしているが、


範馬勇次郎「禁欲の果てにたどりつく境地など高が知れたものッッ、強くなりたくば喰らえ!!!」


強くなる為には戦闘における修業をすればいいと言うものではなく、多種多様なものを喰らい、様々な経験しなければならないという、核心をついたアドバイスをしている分、本作の母親幽霊より遥かにマシである。
また、範馬勇次郎息子の恋人である梢江に対し、


範馬勇次郎「飽き果てるまで喰らわせつつも「足りぬ」雌であれ!!」


などと、恋愛指導まで行っている。
この細やかな心遣い・・・まさに地上最強の親バカである!!
母親幽霊も、2人にこのくらいのエールを送れば印象も変わっていただろうに・・・。


最終的に、節子から暴力を受けた母親幽霊がブチギレて襲い掛かってくるのだが、


母親幽霊「セツコォーーー!!ダメデショ、ヒッパタイテヤル!!」

節子「キャァーーー!!」


と、怒った母親から逃げる娘にしか見えない。
ただの親子喧嘩かな??

ジェイソン・ステイサムが出演しているアクション映画を観ると、IQが5ポイント下がるといった言い伝えがあるが、本作を観るとIQが10ポイント下がる恐れがある。
受験生は絶対に本作を鑑賞しない方がいい!!
ポルりん

ポルりん