えびちゃん

失くした体のえびちゃんのレビュー・感想・評価

失くした体(2019年製作の映画)
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体から切り離された手と、厳しい運命に翻弄された持ち主の追憶を辿る。
『Roma/ローマ』同様、音がすごく良くて振動を一身に受け、とても没入できたのでNetflixではなくぜひ劇場で観て感じてもらいたい作品。
お手手の大冒険もぴりつく緊張感が常に張り巡らされていたし、本体の辿った厳しい半生も胸がギュッと締め付けられる。本当は劇中なんども叫びだしそうになってしまった。抗うことのできない運命とか、その時は最善だと思っていてもフタを開けたら誤っていた選択とかどうにもならないそんな世界をどうにか生き抜かなくてはいけない。それでも最後はなんとも言えない爽快感というか雲間から青空が覗くような爽やかさな後味に満たされていた。いい作品が観られてよかった。そしてやっぱりアニメは外国産が好き。
きっと単に脳だけではなく、身体のあらゆる部位にわたしたち自身の記憶が眠っているんだろうな。嬉しい記憶も、悲しい記憶も。忘れ難い記憶も、忘れてしまいたい記憶さえも。我が手にはどんな記憶が宿るだろうかと、じっと見つめる。
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