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仮面病棟のRAYのレビュー・感想・評価

仮面病棟(2020年製作の映画)
3.6
木村ひさし監督作品と言うことで、おふざけや笑い等と言った要素もある作品なのかななんて思って観たのですが、いやいや、真面目なミステリーで(良い意味で)ちょっとびっくりしました。

原作は知念実希人さんの『仮面病棟』。
知念さんは現役の医師でもあるそうです。
小説の実写化にあたっては、知念さんによって、脚本も映画用に構成し直されたそうです。
原作を読んだこともなかった為、当然、何も知らない状態で観たのですが、とてもテンポよく観ることが出来ました。
ミステリーの部分については、正直、大きな驚きはありませんでしたが、先に書いたテンポの良さがミステリーをミステリーにしている様な印象でした。
恐らく、小説ではもっと丁寧に描かれているのでしょうが、映画という一定の枠の中に収める為にはテンポの良さでカバーする必要があったのかなと思います。
ミステリー映画として純粋に面白かったです。

演技の面に関しては、坂口健太郎さんはこの作品の主人公と似たような役柄をドラマ等でもよく目にする気がしているのですが、個人的には彼の演じる似たような役柄での“目”が好きです。
とても真っ直ぐだし、似た様な役柄であっても、それぞれに心がある様に感じます。
“心”は今作において非常に重要な要素でしたが、医療の現場だけではなく多くの場面の中で、心は大切であるし、それがあるかないかが様々なことに繋がって行く気がします。
そう言う意味でも、彼のこれからに期待せずにはいられません。


映画の内容とは直接関係無いのですが、もうひとつだけ。
僕がこの作品を観たきっかけは、ある人からこの映画を観てきたと聞き、感想を聞いたことです。
多分、それが無い状態でなんとなくこの作品観たとすると、このレビューを書こうとも思わなかったかもしれません。
何が言いたいのかと言うと、前向きに何かにのぞむことは素敵なことなんだなってことなんです。
世の中の物事の多くをつまらなくしようと思えば、自分の気持ちひとつで簡単に出来てしまう。
逆を言えば、楽しむことも自分の気持ちひとつなんだと思います。
それならば単純に楽しんだ方が良いのかなって、そう感じました。
特にミステリー等と言うのは、作り手の問題はもちろんありますが、騙されてやろうくらい素直な気持ちで観る方が良いのかもなんて思うのです。

きっかけは“誰か”でも良い。
聞いたことを疑うのではなくて、受け入れることで見えてくるものもあるんじゃないか。
そんな気がしています。


話が逸れてすみません。


観て良かった。
RAY

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