イベリー子豚

光を追いかけてのイベリー子豚のレビュー・感想・評価

光を追いかけて(2021年製作の映画)
3.8
一言で表すと「異様」。

竹宮ゆゆこ+浅野いにお÷恩田陸……??


面白いのか、つまらないのか、
ホラーなのか、SFなのか、はたまたファンタジー?
残酷で重たいのか、ポップで爽やかなのか
人間描写が上手いのか、陳腐なのか
思春期の闇なのか、青春群像劇なのか……


ともかく摩訶不思議。
めちゃくちゃ尖ってエッジの効いた
『北の国から』??いや全然違うか。

シーンごとに顔つきが全く違うので
「一体何を見せられてるんだ?」の連続。


それでいて
大ベテランCMクリエイター兼新人監督の技で
秋田の黄金色に染まった田んぼと広がる空は
どこまでも美しく瑞々しくセンチメンタルに
切り取ってるし
地鶏の屠殺からのきりたんぽ鍋は旨そすぎるし
もうワケわかめ。


難しい話じゃないし
別にポエムや演劇エンゲキもしてないのに
なぜこんな複雑な味に仕上がってるのか……。


さらにメインの中学生たちがまたアクの強い演技を
されてるのよ。
この辺はマジ『ウィーアー・リトル・ゾンビーズ』。
個性的なのに普遍的な中2病と人間関係の沼。
ヒロインの長澤 樹さんのイノセントな原石感たるや。

でも僕のオススメは後半に
『テセウスの船』と化した彼。ファッションもそうだけど完全にZOOM芸人さんですやん。



それにしても
こんなにカオスなストーリーと演出なのに
湯木 慧さんの沁みるように響く歌声に併せて
エンディングがあんな澄みきった清涼感で訪れるとは
いやはや成田洋一監督、次も楽しみです。