シャチ状球体

光を追いかけてのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

光を追いかけて(2021年製作の映画)
3.5
過疎化が進む田舎、陰湿な人間関係、両親の不和、取り壊される予定の校舎、未確認飛行物体、不登校、初めてできた友達からの嫉妬、屋根の上で佇む少女、ミステリーサークル、地方の人口流出……映画3本分くらいの設定を1本に詰め込んで、それぞれを当たり障りがない程度に浅く広く描いた青春映画。

牧歌的でファンタジー要素の入った学園生活とシリアスな人口・農業問題等との噛み合わなさがコントのようで、常に美しい田園風景が背景を覆っているのも相まって秋田県のPR動画を約100分見せられているかのような感覚に陥る。
中島セナが教室のシーンにしか出てこないのも、それっぽい画を撮りたいがためにキャスティングされたからという事情が見え隠れするような……。

農家に馴染んだ柳葉敏郎の流暢な秋田弁演技や教師を演じる生駒里奈も見れるし、所々で挟まれる遠景を映した美しいカットも魅力的。見放題だったら得した気分になるかも。
特にスタッフロールの空撮とエンディングテーマは、中身のない壮大さと根拠のないエモさが同居した後味の良い映像なのできちんと最後まで観ようね……。
シャチ状球体

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