堀さんはNHKを退局した後、自身で報道の現場に足を運び、常に弱い人に寄り添い、彼らの人権と誇りを尊重し、問題の核心に切り込んでいきます。
香港デモにおける火炎瓶や銃の発砲という生々しい現場をマスコミは報道しない。まるで自分もデモの現場に立ち会っているようなすごい臨場感でした。そこにはデジタルエフェクトなど一切ない現場そのものです。
マスコミとは真逆の骨太の報道姿勢をこの映画に感じました。
だからこそ私たちは対価を払って、この映画を観る価値があるのです。
世界中の弱者の真実を知り、自分自身で考えることを、この映画で学ぶことが出来ます。
これはエンターテインメントではありません。
エンターテインメントが結末を提示する代わりに、問題提起をしてくれます。
その問題提起とは、悲惨な現実に対して私たちが出来ることは何だろう。
分断に対する回答は何だろう。
つまりリテラシー力を高める教育効果がこの映画にあるのです。
役者では絶対演じることの出来ない、悲しみを抱えた方々のメッセージと、人々に寄り添う誠実な堀さんの姿勢は、私の心に大きく響きました。