デンジャー・クロース
=超あぶねえギリギリ着弾砲撃
敵を倒すために最悪己の犠牲すら厭わずに砲撃させる。
そしてそれを命令する上官。
旧日本軍の特攻隊を彷彿とさせる、犠牲による目的達成。最悪目的が達成できずとも、せめてもの一刺し、一太刀。または味方へのささやかな貢献。
もちろん犠牲なんてものはない方がいい。
避けがたい犠牲を無駄死にに終わらせない。
それを成り立たせるのは信頼。
信頼に始まり、信頼に終わる。
この作品がステキなのは、そういう“いかにも美談”なところだけを拡大表現するような通り一遍の描き方ではないこと。
よろしくない判断をしているように見える准将だけど、彼の立場に立ってみるとさてどうだろうか。
中佐は首尾一貫していなくて場当たりで意見具申せずに部下を顎で使う風見鶏だが、その場その場を飄々と生き延びる。
上官の命令を聞かずに自分たちの判断で行動する士官や下士官。「軍がそんなんでいいのか」と思うが、上官たちは咎めない(代償は求めるが)。おおらかなようだが、アンビバレントな戦況だから大目に見てる、ということか。
確かに激しい戦争ものである一方で、「これって社会の縮図だよなあ」とも思わせられる。
その点では、池井戸潤の作品に近い側面もある。
それにしても・・・
中佐はあまりにクソで正に「お荷物」。
あくまでも私の価値観ですが。
戦争映画として、大切なことを教えてくれる。
身を低くすること。
無線。
補給。
命令だけではない自己判断。
仲間。
信頼。
バードビューが効果的な演出。
ロンタンの戦いなんて全然知らず・・・ベトナム戦争についてはまだまだ勉強不足。
「1917」に続いてステキな戦争映画に出会えました。
以下、重箱の隅的ツッコミ。
ところどころ字幕が端折っていて残念。
わかりやすさを優先した結果かもしれないが・・・。
邦題のサブタイトル、はっきり言って無用。