しん

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のしんのレビュー・感想・評価

3.9
一般的に悪い企業と勇気ある弁護士の闘いになりそうな映画ですが、そこを構造的な残酷さや弁護士自身の揺らぎなどを取り込んだ形で描いているところに面白さと怖さがあります。

化学訴訟は専門用語や身体的リスク、長期化などの問題が絡み合います。本作は一つの障害を乗り越えると、すぐに全く異なる問題が発生する構成で、観客も心の底から恐怖します。特に時間の経過は強烈で、遠い昔の話だと思っていたら、あれよあれよの間に最近の話になっていきます。「テフロン」という聞き馴染みのある単語だけに、普段の告発系の映画よりも、その恐怖と薄ら寒さが背筋を凍らせます。

それにしてもデュポンはなかなか悪どいですね。正直、知りませんでした。知的な悪どさと言いましょうか、制度を上手く使うし内部ではヤバイことをやるしで、流石に企業イメージが悪くなりました。詳しくは映画をご覧ください。

全体を通して、人よりも制度や社会構造に目を向けた快作です。住民訴訟や住民運動の意義を再確認させられたした。
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