革芸之介

情事の革芸之介のレビュー・感想・評価

情事(1960年製作の映画)
3.7
「はぁ・・・。」ため息をつきながら壁に寄りかかる気怠い感じの表情させたらモニカ・ヴィッティは世界一だよなぁ。でも本作では少しテンション高めです。最初の登場シーンから笑顔だし、歌ったり、黒髪のカツラかぶったり、鏡に向かって変顔したりコミカルなモニカ・ヴィッティも拝めます。

ガブリエル・フェルゼッティは典型的なイタリアのスケベなチョイ悪おやじ風味。しかしイタリア人の男は、やっぱりエロいほうが面白いね。

恋人のレア・マッセリが行方不明になったのにガブリエル・フェルゼッティ今度はモニカ・ヴィッティを口説こうとしてキスをしちゃうけど、この場面モニカ・ヴィッティは驚いて船から降りて島の方に行くが、その時のキャメラは船上から島を映しているので、画面がグラグラ揺れるのだが、これはモニカ・ヴィッティの心の動揺を表現しているのだろうか。

後半からは観光映画に変身。教会とか街並みとかイタリアの建築物って素晴らしいなぁとか思っていたら、やっぱりアントニオーニの映画なので凄いショットをぶち込んでくる。

無人の町から車で立ち去るロングショットの際、キャメラは徐々に前進して車が立ち去った後もカットを切らず奇妙な余韻を残す不気味さや、教会から出てくる黒い制服を着た子供達の集団や室内場面の鏡の使い方の慎ましさとか、廊下の奥行を強調した縦構図など見所は満載。

終盤のベンチで泣くシーンの手のアップは意味深で優しさと怒り愛憎入り混じる。ラストショットの構図の威力が完璧。
革芸之介

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