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ミセス・ノイズィのhynonのネタバレレビュー・内容・結末

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まさかのどんでん返し?!
この展開を知らずに観れてよかったと思う。

お隣さんに振り回されるブラック・コメディかな、と思ってたけど、なるほど、そう来ましたか!

冒頭、お隣さんを悪者として描くことで、観客にも主人公と同じ偏見を植えつける。こいつはとんでもない非常識で嫌な奴だと。
(まあどっちもどっちなんだけど)

中盤にそれをひっくり返し、お隣さん視点から見せることで、観てる方はなんとも申し訳ない気持ちになってしまう。
そして、私たちがふだんいかに他人の一面しか見ていないか、その一面で人を判断しているか、気づかされる。

編集者が主人公の小説に出すダメ出し…登場人物に深みがない等…は、単に小説に対するダメ出しにとどまらず、彼女に対する(この映画の作り手の)メッセージ、そして観客に対するメッセージにもなっている。
人間はもっと多面的なのだと。私たちはそれを見落としがちだと。

そして、他人の非はやたら目につくけど、自分の非には気づきにくいもの。

お隣さんも言ってたけど、みんな、「自分は正しい」と思って生きてる。
でもそれは、他人の「正しい」とは違う。

世の中には色々な人がいて、色々なものさしがあって、色々な「正しい」があって、色々な事情がある。

それらを理解することはできなくても、想像したり、思いやったりすることは、できるはず。
そんな話だったと思う。

簡単に善悪を決めつけて、非難したり、嘲笑したり、翻ったりするSNSやマスコミの軽薄さも、リアリティーがあった。

けど、SNSやマスコミのそういう描き方も、それはそれで一面的だし、お隣さんを「実はいい人でした!」で済ませるのも一面的ではあるかな。

最後はおさまるべきところにおさまって、うまい着地でした。
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