朝田

ジャスト 6.5 闘いの証の朝田のレビュー・感想・評価

ジャスト 6.5 闘いの証(2019年製作の映画)
3.8
めちゃくちゃ渋い刑事映画で面白かった。ここまでキアロスタミへの目配せ無くエンタメ志向のイラン映画はなにげに初めて見た気がする。ほろ苦い余韻も含めルメットやらフリードキンの70年代アメリカ犯罪映画はかなり思い出した。「フレンチコネクション」的なドラッグウォーものでありつつ警察同士の泥臭い争いを描く「セルピコ」的な要素も。勧善懲悪にせず、犯罪者と刑事どちらにも感情移入を許さない厳しい視点が、監督のイランの社会への怒りへと接続される構造。ここがモダンで良かった。基本的に会話劇で話を展開していくが、役者の気迫と刑務所やイランのスラム街の生々しいディテールの積み重ねが緊張感を持続させる。アクションの撮り方もスマートでオープニングの追跡劇などセリフなしで人影によってサスペンスを生み出していて素晴らしい。様々な要素を入れつつ破綻させず纏める手腕は確か。
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