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ジャスト 6.5 闘いの証のolnのレビュー・感想・評価

ジャスト 6.5 闘いの証(2019年製作の映画)
3.8
現実は待ってくれない
刻一刻と近づく死へのカウントダウン

麻薬取締班のサマドは、麻薬王ナセル・ハクザドを摘発するため、長年の捜査を経て末端の売人を見つけ、強引な聴取活動の末にとうとう居場所を突き止めます。

しかし、それだけでは終わらない。
警察内部に潜む闇、650万人の犠牲者、1枚ずつ剥がれていく王の皮、人は人。

わざわざ殺すために助けたのか?
あと1時間遅ければ死ねていたのに

落ちたらもう、這い上がれない




感想です。

冒頭からぶちかましてきます。序盤の数分で、イラン映画はどうやら只事ではないぞと警鐘が鳴ります。
留置所のシーンもまた印象的で、まるで東京の通勤電車のような、座る場所もない悲惨な収容スペースに、いっそ独房の方がマシなのではないかとさえ思います。

あの留置所にいたジャンキーたちは、本当に薬物依存者だそうで、もうそこまでいくとドキュメンタリーやがなという狂気の配役です。
あのイボイボの人は何の病気なんだろう?イボイボ系本当に苦手なんですよね。ググると画像が出てきそうだから調べられない。。

イランは映画の検閲が厳しいらしく、おそらくこういうことが言いたかったんだろうなというポイントに対して、絶妙に白黒ハッキリさせない表現に落とし込んでいます。でも、しっかり描いているという素晴らしさ。表現が制限されたら、それはそれとして素晴らしい表現が生まれるものなんですね。

そして、この作品に日本が絡んでいるという残念さ。こうやって日本にクスリが流れてきて、ヤクザが韓国に流して”ザ・バッド・ガイズ”に繋がるわけですね。
期せずしてユニバースが出来上がりました。
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