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マニャニータのlpのレビュー・感想・評価

マニャニータ(2019年製作の映画)
2.5
東京国際映画祭にて鑑賞。

コンペ8本目はフィリピンの『マニャニータ』。
今年のコンペ14本の中で、最も長尺なのが今作の143分。凄腕女性スナイパーの内側を巡る物語を、じっくりゆっくり描くとのこと。あのラヴ・ディアスが共同脚本にクレジットされていることもあり、鑑賞することに。
ちなみに今日の上映が会期中2回目の上映。今年はもう1回最終日に上映があるとは言え、例年ならラストの2回目の上映を迎える映画がもう出てきてしまうのか・・・と、徐々に近付くクロージングへの寂しさも少し覚えつつ鑑賞。

顔に傷を残す凄腕女性スナイパーが、軍から除隊処分を通告される。そこから映画はじっくり時間を割いて、彼女が抱えるトラウマに迫っていく。
ラヴ・ディアスが脚本に参加している影響か各ワンシーンは非常に長く、正直なところ途中は冗長な印象は否めない。しかし、最後には爽やかな余韻を残す。冗長ではあるけれど、不思議と嫌いになれない映画だ。

本作の大きな特徴は「歌」がストーリーテリングの中心に位置付けられていること。歌の内容と主人公の心情を捉えた映像(大半はビールを呑んだくれているだけなのだけど)で、主人公の内面を掘り下げて描いていく。
この語り口には満足しているけれど、唯一主人公のトラウマが明らかになる後半のあるシーンは、内容をほぼ台詞でダイレクトに説明してしまっていて残念だった。

グランプリでも取らない限り日本公開は難しい(途中退出者も多かったので、おそらく観客賞は厳しい)と思うので、気になる方は映画祭最終日の上映にぜひ。
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