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テイクオーバーゾーンのlpのレビュー・感想・評価

テイクオーバーゾーン(2019年製作の映画)
2.3
東京国際映画祭にて鑑賞。

日本映画スプラッシュ4本目は『テイクオーバーゾーン』。
新人監督が多く集った今年の日本映画スプラッシュ部門にあって、今作の山嵜晋平監督は長編2作目でのエントリー。タイトルからも伝わる通り、陸上をテーマにしたストーリーが気になったことと、キャストには内田慈や川瀬陽太といった名バイプレイヤーの名前が並んでいることもあり期待して鑑賞。しかし、残念ながら個人的には不発だった!

主人公は陸上部のエース。彼女の母親は弟を連れて家を出ており、現在は父親と2人で暮らしている。ある日、スーパーで偶然弟と再会した主人公は、離婚した母親がよりにもよって、同じ陸上部の同級生の父親と再婚していたことを知る・・・という話。

ストーリーは悪くなかった。友情と陸上をベースにした女子中学生達の物語に、複雑な家族関係の事情が絡むストーリーは、それぞれ単品ではフレッシュさに欠くけれども、組み合わせることでユニークな話に映った。

キャストに関しても素晴らしかった。
主演の吉名莉瑠の堂々たる存在感も素晴らしいし、吉名莉瑠に対して受けの演技を披露する糸瀬七葉も良い。若手だけでなく、川瀬陽太と内田慈が演じる「元夫婦」のコンビも最高だ。

しかし、演出の面で弱さを感じた。
まず「主人公」=「陸上部のエース」という設定に実感が湧かず。確かに主人公の走る姿をズームアップして、「速さ」を感じられるシーンもあるのだけど、競争相手がいるシーンはスローモーションが多用されていて残念。
また、タイトル通り「バトンの受け渡し」が1つのキーになるのだけど、映画後半のある場面が見事に嵌まらず。唐突な展開に少し興醒めしてしまった。
他にも、主要登場人物以外のキャラクター達のストーリーへの絡ませ方が全般的に弱く、話運びに違和感というか「わざとらしさ」を覚える展開が散見された点もイマイチだった。
ただ、ここまで見せ方の弱さを並べたけれど、ラストのロングショットだけは、内容も映し方もとても良かった。

平均レベルが高い日本映画スプラッシュの中では不発に感じましたが、見所が全く無い訳ではないので、気になる方はぜひ。
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