緑

れいわ一揆の緑のネタバレレビュー・内容・結末

れいわ一揆(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

女性装の東大教授・やすとみ歩(あゆみ)氏を中心に
2019年の参院選に於けるれいわ新選組の選挙を追ったドキュメント。
上映前にトークショーで1時間、
上映後にトークショーと観客とのQ&Aで1時間。
登壇者は原一男+やすとみ歩+ 渡辺照子 + 三井義文 + 辻村千尋
+ 畠山理仁(司会進行)。
上映後には音楽の方と編集の方も。

原一男作品は「さよならCP」「極私的エロス 恋歌1974」
「ゆきゆきて神軍」「全身小説家」を鑑賞済み。

この作品に関しては、
2019年参院選開票日24時からニコニコ生放送でやっていた
「原一男の最新映像、やすとみ歩(れいわ新選組)選挙戦
ドキュメンタリー撮影素材を朝まで一挙見上映」
を少し鑑賞しており、
おもしろくなりそうだなぁと公開を楽しみにしていた。
最高の被写体が揃っており、実際におもしろかった。

ただ、原一男も芸風を変えてきたと思えた
(「ニッポン国対泉南石綿村」未鑑賞なので
前作から変わっている可能性もある)。
過去に観た作品群よりもすごく親切になっている。
言いたいことがバカでもわかる。
「i 新聞記者」の森達也もそうだった。

名ドキュメンタリー監督が立て続けに
政治に関係する映画を親切設計で作ったのは何故だ!?
ということが気になってならず、
原監督に直接問うてみたところ、
「年取ったから」とのこと。
「若い頃は、わかってたまるか! と思っていたけど、
そういうのがなくなった」と。

もうひとつ「i 新聞記者」と共通する疑問。
どういう客層を想定して作ったか。

まず監督のファン、
そして「れいわ一揆」に関してはれいわ新選組支持者が思い浮かぶ。
監督のファンや政党支持者を観客と想定しているなら
作りが親切すぎるように思えた。
ドキュメンタリー映画ファンという観客層もありそうだが、
政治色の強いこのタイトルで忌避する人も多そう。
また、4時間超えという上映時間もハードルが高い。
どの辺りを見据えて、この「れいわ一揆」になったのか。

原監督曰く「撮っているときは、どんな映画になるかなぁ」
「その後は、どんな人が観てくれるんだろうなぁ」。
ちなみに監督と話す前に編集の田中氏と話せるタイミングがあり、
田中氏曰く
「編集中は、いろんな人に観てもらえるといいね、と言っていた」
とのこと。
また、音楽やアニメーション等の親切部分は
全てが監督のアイデアという訳ではなく、
アイデアを出し合ってすり合わせていったそうだ。

この参院選ではれいわ新選組に注目しており、
候補者たちの選挙活動や主張等は
個人的には目新しくなかったため省いて、
それ以外の部分で本編で印象に残ったところ。

お馬さんたち。
山本太郎の鞄についているヘルプマーク。
休憩に入るときの原監督のとぼけたナレーション(すごく褒めてる)。
日本立場主義人民共和国。
エンドロールの音楽。

お馬さんたちが日常的に近くにいる世の中に
なったらいいなぁと思うが馬は耳がいい動物だ。
センター街等やかましいところはつらかったのでは? とも思った。

トークショーで印象に残ったエピソードは、
やはりマイケル・ジャクソンの楽曲使用料が億単位という話。
高すぎだろ!!
原監督が言っていた「ドキュメンタリーは裏話がおもしろい」は本当で、
もっといろんなエピソードが聞きたかった。

あまり良くないニュアンスで、
中を知っちゃったから的なことを言っていたのが気になった。
市民の党関連かなと邪推してしまったが、
もっと全然違うことかもしれない。

最後に、上映会に来ていた観客に関して。
上映中に話しながら観ている人たちが複数組いて耳障りだった。
上映後のQ&Aでまとまりなく延々話し続けて
ひとりで時間を圧迫した質問者がいた。
Q&Aでの質問者であることをアピールしながら
外でビラ配りしている人がいた。
他党支持者はもちろん、無党派層が見たら
「この党の支持者はこういう人たち」という印象を持つだろう。
それが党の応援になるか、邪魔になるか、
ちょっと考えればわかると思う。
おしゃべり、自分語り、政治的なビラ配り等、
どれも映画館ですることではない。

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2020.9.18追記

HARBOR BUSINESS Onlineの
「失速するれいわ新選組。
映画監督・原一男氏が山本太郎に覚えた違和感」
に、「中を知っちゃったから」の
一端と思しきエピソードあり。
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