Azuという名のブシェミ夫人

ラ・ジュテのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.5
ずっとずーーーっと観てみたいと思っていた作品。
というのも愛するテリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』はこの作品にインスパイアされて作られた映画だそうなので。
あぁでも・・・その情報って有名だけれど、どうなんだろう・・・どっちも未見の方はどっちを先に見るべきかって難しい。
私個人としては『12モンキーズ』→『ラ・ジュテ』かなぁ・・・うーーん、どうだろう。

それにしても、長いこと抱いて大きくなっていた期待を裏切らなかった。
とても良かった!!!
好きだわ・・・この画。この雰囲気。

スライドショーのように瞬間を切り取った写真とナレーションで構成された変わり種の作品。
SFっぽい要素がちっとも出てこなくても、これは近未来の話ですよと言われたら受け容れてしまえるような謎の説得力。
30分程の短い作品ですが、一人の男の時間がぎゅぎゅっと凝縮されており、終始集中していたので長編を観た様な満足感がある。

美しい女性との出会い。
二人の間に流れる温かな気配が、静止画であれども伝わってくる。
博物館でのひとときがとても素敵で、あの空間に入りこんでみたくなった。
この映画を観ている時の自分の心境自体が、博物館や美術館で過ごしている時のあの雰囲気に良く似ていると思う。
そして、そこからラストにかけて畳み掛けるような切り替えの流れが素晴らしかった。

この作品の写真で1コマづつ描かれる手法を観ていたら、映画に限らずとも私達の人生というのは、こうした“瞬間”の連続で出来ているのだと改めて感じ入った。
誰かの瞬間と私の瞬間が合わさって、そうして世界中のあちこちで積み重なったひとときが時間になっていく。
その一つ一つを大切にすることができたら、人生は満ち足りたものになるのかもしれない。