伊達巻

ラ・ジュテの伊達巻のレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
5.0
記憶とは連続した静止画のようなものかもしれない。思い出すという行為が過去を過去として封じ込めることを意味しても、時の旅の中で記憶の断片たちがくっきりと輪郭を持って眼前に広がる。見慣れた空港、風で乱れた髪、少し笑った目と口、展示された動物の剥製。男は想像力に長けていた。でたらめの想像ではない。存在を信じるための想像だ。小鳥がさえずる平和な朝、陽の光に照らされた彼女の一瞬のまばたきが永遠だった。映画が終わった瞬間、もう一度観たいと思う感情が男の願いと重なったような気持ち。これを映画と呼ばなくて何を映画と呼べるだろう?
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