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ラ・ジュテのNMのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.2
第三次世界大戦の後、焼け野原になったパリ。
もしも、の物語。
科学が進み、しかし人類の倫理が進歩しなかった未来の。

へえ、最初は静画で進めるのか、と思ったらそのまま3分の2ぐらいまで進行。その後はまた静画。
しかし動画と比べて見劣りするかと言うと全くそんなことはなく、派手な演技や音楽やカット割りがなくともかなりの、特に恐怖を与える。子どものとき観たらトラウマになる子もいるのでは。映画としては少々裏技感はあるものの、どうにも高評価にせざるを得ない。
こういう手法なら映画化困難な原作でも何とかなりそう。

実験台に選ばれたのが想像力の豊かな者、というのがいまいち腑に落ちない。ぼんやりした想像力の貧困な人の方が生き残れそうな気がするのだが。
この作品を理解するのにも想像力が要るということか。

字幕の出ないささやき声が恐ろしい。何やら数を数えたりアルファベットを唱えたりしていて意味が分からない。理解できる言葉を言われるより怖い。

そして、
彼が選ばれたのは幼い頃の記憶に執着しているからで、でもそれは実験による記憶であって、だから彼が選ばれて、という完全なメビウスの輪。
じゃあいつからこの輪は完成したのか?
時間というものが全く謎であることを痛感。

「過去も未来もない 2人には現在だけ
生きる意欲と壁の落書きが その指針となる」
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