ダイナ

レゴ ブリッキュメンタリー A Lego Brickumentaryのダイナのレビュー・感想・評価

4.3
玩具業界の上位に君臨する「レゴ」の歴史・世界での愛され方に迫ったドキュメンタリー。レゴ社がマーケットを広げた背景や経営難に陥ってからの反省、そこからどう盛り返していったかのアイデア等、普通の業界ドキュメンタリーとしても面白い内容。しかし本作の魅力は「レゴの無限の可能性」を映している点にあります。遊ぶための玩具の認識だけであれば新たな扉が開かされることは間違いない一作。

説明書通りに組み立てたり自由に組み合わせて遊ぶだけに留まらないポテンシャルの高さ。建築や宇宙開発の基礎、療法のアイテム、玩具としてでなく色々な実用品として組み立てられたりと、様々な用途に向けて使われるそのポテンシャルの幅広さ。一つの物をどう活用するか、「応用」の本質的な魅力がこのドキュメンタリーで映されています。

ユニークなものが多いレゴイベントも注目したい所。ロボコン系は想像が容易いですが、中には「ビニールパックに入ったバラバラのピースを開けずに中で組み立てる競技」や「目隠しして組み立てる競技」とディープなものもあり、深夜番組で特集されてそうなアングラ感にワクワクさせられます。

組み合わせの計算に囚われた学者、映画学校中退してレゴ映画にのめり込むコンビ、エグいほど壮大なジオラマを制作するお母さん、弁護士から「レゴアーティスト」に転職した男etc、曲者勢揃いのレゴ活も面白い。レゴ沼を安易に覗いたら奴らに引き摺り込まれるぞ!

他にも様々な視点からレゴを紹介しており、レゴに対する興味が心の底から引っ張り出される内容となっていてとても面白かったです。多くに共通しているのは「頭の中」を表現する方法としてレゴを用いている事。創作の足がかりとして手軽に使える点や凸凹構造が持つ万人に優しい仕組みが応用しやすさに繋がっているんじゃないでしょうか。みんな楽しそうで久しぶりにレゴ買いたくなってきちゃいました。てか買うぞもう。レゴ沼にダイブしてやる。

観賞前に一点だけ注意事項。「レゴムービー」という映画のとても重要なネタバレ厳禁シーンを本作の序盤でさらっと映してしまっています。個人的には本作観る前にレゴムービーを先に観ておく事ををオススメします。
ダイナ

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