ノラネコの呑んで観るシネマ

約束の宇宙(そら)のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)
3.9
これは視点が新しい。
エヴァ・グリーン演じるシングルマザーの宇宙飛行士が、国際宇宙ステーションへと旅立つまでの物語。
火星探査のリハーサルを前提とし、一年間に渡って地球との交信を絶つプロキシマ計画。
その間、幼い娘は別れた夫に預け、連絡も取れない。
過去の名作「ライトスタッフ」や「ファーストマン」では、宇宙飛行士と家族との関係は描かれていたが、基本男目線で時代設定的にも“家庭は妻が守るもの“というスタンスだった。
対してこちらの時代は現在で、宇宙飛行士が幼い子と強い絆で結ばれた、たった一人の母親だったらという話。
淡々としたタッチで紡がれる物語は、日々の訓練の繰り返し以外、特に事件は起こらない。
だが迫り来る別離の日が、母娘の中で次第に大きくなってゆく。
娘とのある約束を守ため、重大な規約破りしちゃのはプロとしていかがなものかと思うが、過去の宇宙飛行士の中にも、こんなドラマを持ってた人もいたのかも知れないな、と思わせる佳作。