社会のダストダス

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

4.1
スパイダーマンの映画を全部は観てきたわけでは無い自分でも、本作が歴史的な作品なのは間違いないと確信できる。そもそもスパイダーマンの映画化の権利は今もディズニーではなく、ソニーピクチャーズが持っているのだから、本作の製作の過程でどれだけの障害があったのか想像もできない。

『ホームカミング』も『ファー・フロム・ホーム』もそれなりに楽しんだので、本作もそれなりに楽しみにしていた(期待値でいえばシャン・チー以上ブラック・ウィドウ以下くらいだった)。それがどうしたことか、とんでも8分、歩いて10分な凄まじい映画だった。

無駄になんかなっていなかった。リブートというのはそれまでのシリーズ作品の流れを断ち切って新たに物語を構築すること。スパイダーマンは他のヒーロー作品よりも多く経験しているが、それぞれの世界線で彼らのストーリーは今も続いている。結果的に過去作も再評価される感動的なまとめ方に。

予告編の時点でうっすら記憶にある人たちが出てきたので、それだけでも十分にサプライズだったけど、今回改めて思ったのはウィレム・デフォーの悪役が神がかりに格好いい。これだけヴィランのバーゲンセールになっていても存在感が別格。序盤に自分でゴブリンの仮面叩き割っちゃうけど、素顔の方がゴブリン面だから別に必要なかったというね。

つい先日、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を観たばかりだったので、少年に優しいカンバーバッチ先生には素直に気味が悪いと思ってしまった。予告編を見た時点だとこの人が一番やらかしたんじゃないかと思っていたけど、 …やっぱりそうだった(原因はトムホだけど)。でもあなたが失敗しなかったらこの奇跡の作品は生まれなかったので、本作のMVPかもしれない、終盤は何かよく分からないけど頑張っていたし。

実写スパイダーマンで観ていないのはまだ二つ(アメージング)あるし、サム・ライミ版もほとんど記憶の片隅程度にしか覚えていなかったので今はこのスコアで。全部観てすべての作品が自分の中でつながった後、ひっそりと満点に変えているかもしれない。

とりあえずまだ観てない人で、1ミリでも観たいという気持ちがある人は、今すぐこの画面を閉じて観に行った方がいいと思います。『ドクター・ストレンジ』の新作もそれなり以上には楽しみにしてたけど、かなり期待値が上がってきた。つまりストレンジ先生が取り返しのつかないことをすればするほど、マルチバースの夢は広がっていくという解釈であっているのだろうか。

フラッシュポイントと書かれている本を読んでいるおばさんがいたけど、まさかアレも関係してくるのでしょうか…