Acne

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのAcneのレビュー・感想・評価

3.8
【how are you?】

このセリフには涙腺が刺激されました。
今作で一番グッときたシーンのやりとりである。


75点(スパイダーマン単体映画として)

ちなみにファン映画としては90点

(前置き)

まずは公開日についての苦言を最初に述べて、日本だけ圧倒的に遅かった公開に対する自分の中の不満を成仏させる。

今作の日本は世界的に見て約三週間の公開遅れ。
諸々の大人の事情については察せられるが、この遅れた三週間の期間にSNS等にネタバレが蔓延して、私も意図せず重要な展開について知ってしまった。
正直、他のMCU作品が公開遅れになろうとも我慢できるが、流石に今作は別。
今回の日本の配給会社は結果的に見れば本当に無能としか言いようがない。

ちなみに私はサムライミ版のスパイダーマン映画が一番好き。
好きなシリーズ順は下記の通り。
(※サムライミ版のスパイダーマン2は傑作)

「サムライミ版」>>>「アメスパ」>「MCU版」

(感想)

「ネタバレなし感想」

この作品が世界的に見ても、評判が滅茶苦茶高いのも理解出来る。

結論から言うと、MCU版スパイダーマン映画にあまりノレていなかった私だが、間違いなく3作中一番面白かった。

サムライミ版の1作目が2002年に公開されて、3シリーズ経ての今回9作目。スパイダーマン映画(※実写作品に限る)の20年の歴史が集約された作品と言っても過言ではないであろう。

皆さんが絶賛している通り、まずはファンが夢見た作品を作ってくれて「ありがとう」と言いたい。
子供の頃にサムライミ版の1作目から全作劇場で見ている私にとって、正直興奮の展開の連続であった。

しかし、他のユニバースからキャラを登場させるという掟破り展開上、それを成立させるために歪な脚本になっているのも事実。
正直、往年のファンに向けたファンサービスに溢れたグッとくるシーンは沢山あるものの、大筋の脚本はかなり雑だなと思う。

「コレをやりたい」という結果ありきの辻褄合わせの脚本に冷静になると、作品自体のクオリティが世間の評判程良くはないことに気づく。
間違いなく傑作とかいうレベルの域には達していない。

今作を「スパイダーマンのアベンジャーズ的な映画」として楽しむか、「スパイダーマン作品」として楽しむかで評価は変わってくるであろう。

「アベンジャーズ」のようにコレはお祭り映画ですよと枠組みして公開してくれれば、歪な点にももう少し目をつぶれたかもしれない。

正直、細かい事を気にしなくてよいお祭り映画としては90点くらいはつけたい。

しかし、今作はあくまでもMCUスパイダーマンの三部作の完結編としての位置づけ。
それを考えると前二作とは、テイストがかけ離れすぎており釈然としないのもある。(※実際、学園ドラマ感は消え失せている。)

トムホランドのインタビューで語っていた言葉を借りるなら、今作は「スパイダーボーイが真のスパイダーマンになる物語」である。
お祭り映画でありながら、そこの根底の物語をボヤかさずに描いた点は評価したい。









以下よりネタバレあり感想。







「ネタバレあり感想」

(悪い点)

・他のユニバースからキャラを登場させるとはいえ、ドクターストレンジがいくら何でもバカキャラになりすぎ。傲慢キャラという事を差し引いても、腐っても前職は医者のハズだし、重要な事柄を確認した上で物事を行え。
展開のためにキャラの知能指数を下げるという、ありがちな例である。
ピーターとストレンジが話し合って物事を進めていれば、こんな事にはならなった。

魔術が失敗した結果、スパイダーマン関連の登場人物が引き寄せられてやってくるという理論も無理やりで正直「?」ある。

・ヴィランについてもやってきたタイミングが謎で記憶が都合のいいように書き換えられすぎ。
というか、エレクトロについては殆ど別キャラになっているし・・・何でもアリかよ感が凄い。(※アメスパ2版よりMCU版の方が格段に魅力的ではあるが。)

・ピーターがヴィラン達を救いたいからという理由でも、家に全員集合させるのはバカすぎ。(※でもスパイダーマン映画の歴代ヴィランが一堂にピーター・パーカーの家に揃う絵面は良かった。苦言を呈しながら、ナニコレ!ナニコレ!と興奮したのも事実)

・自宅にあるスタークのマシンでスグにヴィランたちを治せる装置を作れるのは、何でもありかよ感があってやりすぎ。

・三人のピーターがヴィランたちの特効薬をその場で作れるのも意味が分からない。そんなに簡単に作れるものなのか?

死んだハズのヴィラン達までも無理やり揃えるというストーリーはファンとしては嬉しいが、それに伴ってストーリー展開にカタルシスが無く無理やり揃えた感が凄くあった。

・ラストの展開の記憶を無くせばOKみたいなノリも無理やり感。
 ここまでくると、何でもあり感が満載で重大な決断にカタルシスが
 殆どない。
(※どうせ今後のMCU作品で記憶なんて簡単に戻ってしまいそうだし)

(良い点)

・悪い点で文句を言ったが、やはり歴代ヴィラン達が揃うのは凄くテンションが上がる。
シリーズを超えてヴィランが揃っているので、このキャラとこのキャラが喋っている!というだけでファンとしては感慨深い。

サムライミ版のファンとしては、ノーマン・オズボーン(グリーンゴブリン)とオクタビアス(ドック・オク)の会話は胸熱でした。こんな夢みたいなシーンをプレゼントしてくれてありがとう。

・何より一番素晴らしいのは、歴代のスパイダーマン三人が揃った事であろう。
2人のスパイダーマンが登場した時の会場の興奮した雰囲気は、中々味わえるようなものではない。

トビー版ピーターのウェブシューターが要らないイジリなど、ファンとしてはニヤッとしてしまう。

そして、過去シリーズのピーター二人の会話でシリーズ終了後のその後が少し分かったりするなどファンが喜ぶ部分をよく分かっている。
個人的にトビー版ピーターのMJとのその後の関係が少し垣間見えたのは凄く嬉しかった。

そして、終盤の歴代ヴィランVS3人のスパイダーマンとの闘い。
この夢の闘いにはもうね・・。何も言うまいというほど興奮した。

アンドリュー版ピーターがMJを落下から救うシーンはずるいよ。
ファンが見たかったものを本当に見せてくれた。この時のアンドリューの表情は素晴らしかったですね。

・ウィレムデフォー演じるグリーンゴブリンはハマり役すぎますね。
殴られながら「ハッハッハツ」と笑うシーンなんて、狂気的すぎて見惚れてしまったし、「ピーター、ピーター、ピーター」とおちょくるシーンのあの表情もなんですかあれ。最高。

ヒーロー映画にとって魅力的なヴィランは不可欠だなぁとシミジミ思いました。




色々と不満点がある程いびつな作品で、過去作からキャラを登場させてお祭り感で乗り切った感は否めないが、
歴代スパイダーマンファンのとっては、否が応でもテンションが爆上がりする夢のような作品なのは間違いない。

正直、「アベンジャーズ エンドゲーム」より興奮上。
感情的な興奮で言ったら「最高だ!」と叫びたくなる作品になっている。

既に2回みた私だが、サムライミ版の時に慣れ親しんだ吹き替えを見ようか迷っている。

そんな作品でした。