明宏

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームの明宏のレビュー・感想・評価

2.5
評判が良かっただけにちょっと期待してしまったがMJに言わせれば「期待しなければ失望しない」らしい。

というかこの映画で決定的に思い知らされたのって
"コロナ禍でヒーロー映画は撮れない"
ってことだと思う。


最初はMCUスパイダーマンやっぱ面白いな〜 って思ってたけど、ドクターストレンジ登場以降は、"2時間弱の超豪華特典映像"だった。
楽しめる人は楽しめると思うけど。
逆に、本家が過去のスパイダーマンシリーズをサービス的に引用しまくることで個々のスパイダーマンシリーズが矮小化されたように感じてしまわないか?とも思った。
まあそれは覚悟の上で企画一発勝負なんだとも思うけど。
昼のニューヨークの街を戦場にせず、夜の建設現場にしたのにはなにか事情があるのだろうか?昼間の街中で撮影したらリークされるからかな?と思っていたけど、そうかコロナ禍じゃん。
3人のスパイダーマンがもっと見やすい形で屋外アクションやってくれてたら、ストーリーとか置いといてアクション映画として好きになれたかもしれないけどそれさえもゆるされない状況なんだ。
やはり冒頭の昼の街並みをMJとスイングしていくシーンは面白くて、CGの進化とともに、逆にケレン味を持たせずにこんなアクションを普通っぽい映像で見せちゃうんだ。MCUスパイダーマンやっぱすごいなと思ってた。
MJとのスイングのふたりの「スイングはもう嫌って言ってたんじゃん!」等の掛け合いは可愛すぎっ。メイおばさんハッピーピーターMJの4人のシーンも最高。半裸のピーターとMJを観たメイおばさんの「安全にね!」とかメイおばさんとハッピーに対して「お似合いだったのに」なんて言うピーター。この2人理想の親子関係だ。そこをワンカットでカメラで追っていって、テレビのニュースから窓の外のヘリに気づくまでのテンポが本当に気持ちいい。そこから、弁護士のくだりがあって後述するがそこも最高。そして学校に登校するとすっかりフェイクニュースに踊らされた人々と、騙されていないけど浮き足立っている人が同時に存在している様子をバカバカしく撮ってるのもすごく現代のコメディとして笑えた。ここらへんまで「MCUスパイダーマンのこの軽やかさと現代性は最高だな〜 安心して楽しんでられるわ〜」と思っていたんだけどね。
冒頭はコロナ以前に撮影できてて、中盤以降はコロナになっちゃったから人集めて撮影できなかったってことっぽくてかわいそう。

あと、過去のスパイダーマンの登場シーンちょっと地味すぎないか?
これもやはり屋外撮影不可みたいな事情があるのかもしれないけど、もっと演出のしかたあるでしょ。(それこそ俺はデアデビルは観てなかったのにマットの登場シーンはテンション上がった。弁護士が来るまで喋るな!の流れから、杖ドン!顔見せそしてガレキキャッチまで、そういうテンポで演出してるから)
呪文詠唱中に書き換えるとマルチバースになっちゃうとか、マルチバースから人がいっぱい来ちゃったからピーターの名前を記憶から消せばマルチバースじゃなくなるんだ!とかドクター・ストレンジの魔法の塩梅の話は知らんわとしか思えない。
もちろん物語進行の機能のためにあるわけだが、こっちが知りようがないストレンジの魔法の塩梅でピーターの記憶が消えたとして、そこに観客の感情を引き起こすような効果はないでしょ…

メイおばさんの件も、それこそ他のピーターと同じように身内を亡くしたっていう設定で統一したいのかもしれんが、それがMCUシリーズにおいてのトニー・スタークの役割だったわけで、ここでメイおばさんまで殺すんじゃベンおじさんをあえて登場させなかった意味無くなっちゃうじゃん。

ただただ過去のスパイダーマンの話をしたいだけの実験室のシーンとか、自由の女神の足場のシーンとか、ほんとに特典映像だとしか思えない弛緩っぷりでおいおい……となる。2時間の映画の中で一個か二個あったらニヤッとできて楽しい会話を10分もやるなよ。

ピーターの正体を知ってる人がMCUに来ちゃうから、ピーターの記憶をみんなから消そうとなると、どの多元宇宙でもピーターの記憶がなくなってしまうんじゃない?トビーとアンドリューが困りそう。
コラボしてたらもうそれだけでいいですって人以外はかなりつまらない映画だったのでは。
アンガーリー・ライスの出演時間が3秒しかない。3時間出せ!

エンドクレジットはとっても可愛いかったです。以上っ!
明宏

明宏