あまのかぐや

ジャンゴ 繋がれざる者のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

オスカーでの脚本賞やクリストフ・ヴァルツの助演男優賞受賞などの にぎにぎしい話題を耳にするにつけ タランティーノの好きのわたしとしては 早く見たくて見たくてうずうずしてたこの作品でした。

総じていえば。あくまでわたしの感想ですが 本作を見る前に「予習」がてらに 家で3回ぐらいみちゃったイングロリアスバスターズのほうが好きだわ、やっぱ。 と思っちゃったんですよね、正直。

「イングロリアス」のほうが「いい」ではなく 「わたしは好き」って意味ですよ、あくまで。

イングロリアスがあって3年。 タランティーノ監督の世間的な評価が実って、 熟したタイミングでの本作だったのかな、と思います。 そしてジャンゴを楽しむには タラちゃんの愛してやまない西部劇というジャンルが わたしにとってあまりに不勉強な世界だったのかな、と。 ちょっと残念に思いました。・・・予習の方向間違ったみたい、ごめんね!

イングロリアス・バスターズでは わかりやすい公式としてのユダヤの復讐劇を軸に据え いろんな映画の見方(時代の読み方とでもいうのか)を教えてもらいました。 この作品では知ってるようで知らなかった 南北戦争以前の真の黒人白人の歴史ありのまま(映画ですから脚色ありとはいえ) 時には目を背けたくなるほど生々しく描き出され、これまた目を開かされた思いです。 そんな真面目な社会派タラちゃんの風格がありながらも おなじみ無駄話、長台詞のお遊びや タラご本人ご登場(ダイナマイトとかおもいきり噴きだした)

それから後半も後半でさく裂したキャンディ邸での血糊過多な銃撃戦など これぞタラちゃん!的な見せ場も勿論なくしてないところが嬉しかったです。

楽しみにしてたクリストフ・ヴァルツの 元歯医者でバウンティハンター=キング・シュルツですが 彼の演じるハンス・ランダ大尉が大好きな私はあの穏やかな紳士の顔の裏から いつ悪い顔が飛び出すかドキドキしながら見守ってしましたので、そういう意味では肩すかし。 「悪」だけではない、信念のためなら何をしでかすか分からない危ない人物さは相変わらず。 特に握手のくだりの心理戦、せめぎ合いは「これが助演男優賞の所以か」と感じ入ってしまうほど。

でもやっぱり今回は、ヴァルツをしのいでんじゃね?と 個人的にはディカプリオに助演男優賞をあげてほしかったと思いました。 公開前には「あのブラピが!」と話題になったイングロリアスのブラピとは別格の扱い。

しつこいようですが、ハンス・ランダのポジションが ディカプリオ演じるところのカルビン・キャンディだったのでは、と思いました。 ジェントルマンさ(フランスかぶれな)とスマートさ、下劣さと凶悪さが混在するあの笑顔。 先代の黒人使用人のしゃれこうべをいじりながら薀蓄をたれるとこなんて パリのレストランで素性を隠したユダヤの少女と再会するシーンの ランダ大尉の底知れないいやらしさ恐ろしさを思い出しました。 もともと21世紀はいってからのふてぶてしい容姿と 常に苦悩してるようなディカプリオから好きになった者としては いつか悩める中年(もと美形)だけじゃない、 なにか突き抜けた役の彼を見たいとおもっていた矢先のこの役には拍手喝采でした。

肝心の主人公、ジャンゴについてなにも書いていないことに今更気づきました。 あまりに他のメインキャストが濃いせいか (サミュエル.L.ジャクソンとかズルすぎるほど美味しい) もともとジェイミー・フォックス自身が薄味なせいか 主人公がこれでいいの?と思いましたが タラちゃんがちょっとこっぱずかしく照れながら触れるロマンス部分をすべて背負ったかのような役どころ。 後半の二丁拳銃ぶっぱなす銃撃戦から、一度炭鉱に送還されそうになってから なりふりかまわずキャンディ農園に戻ってくる無理やりな展開。 ラスト焼け跡から愛しのブルームヒルダを連れて脱出するお茶目な姿で やっとジェイミー・フォックスがタランティーノ映画の人になったような気がしました。

タラちゃんの「愛と復讐の歴史大河」は 「イングロリアス」「ジャンゴ」そして次作まで続いているとのこと。 ジャンゴを越えようとか、ジャンゴ以上の賞とろうとか、 そんな色気を出すことなく、次はどんな作品をみせてくれるのかと心から楽しみです