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ジャンゴ 繋がれざる者のMondayAddamsのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.0
マカロニ・ウェスタンの名作『荒れ野の用心棒』の主人公を黒人に置き換え、現代的なアレンジを効かせた西部劇。
監督がタランティーノなので、安定の血飛沫多めで、気の利いた皮肉たっぷり、面白いくらいバタバタ人が死ぬ。あと音楽がいい。面白すぎてびっくりした。
すべてのキャストが完全にハマり役。特にクリストフ・ヴァルツがよかった。コイツいつ裏切るんだ?と思わせる怪しさを纏って善人を演じられるのはヴァルツならでは。

白人が黒人の真似事をし、黒人のファッションがランウェイを闊歩し、ほとんどすべての白人のPOPソングに黒人のアーティストがコラボする今日この頃。
差別はまだまだ消えないと言うけれど、事実上、立場は逆転し、世界中を"繋がれざる者"が支配している時代だからこそ、黒人の主人公が白人に復讐するという内容が「エンターテイメント」になるんだと思う。
スカッとした!という感想が多いが、この映画を見てスカッとするのは、勧善懲悪ななされ主人公が目的を果たすからではなく、「差別」を強者が弱者を虐げる行為というよりは、脳みその足りてない人々が行う馬鹿げた過ちとしてジョークみたいに描かれているからではないだろうか。
この作品に登場する差別主義者は救いようのないアホばかり。黒人を差別するという発想を持たない白人の医師だけが知的な存在として描かれる。
ナチスをこき下ろした『イングロリアス・バスターズ』も最高だったけど、これも軽いノリで観られる奥深いテーマを含んだ傑作だと思う。
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