rollin

SKIN/スキンのrollinのレビュー・感想・評価

SKIN/スキン(2019年製作の映画)
4.2
VINLAND SAGA

バイキングかぶれな白人サイコー団・ヴィンランダーズの男が改心し、タトゥーを除去する物語に感じた既視感の元を辿ってみると、こりゃまんまウォーボーイズの暮らしだった。何て日だ。

あまりに完成度の高い短編への不器用すぎる回答。序盤の時点から、かなり歪なタイミングでインサートされるタトゥー除去シーンが効果的だったのかは分からないけど、出口のないTHUGライフを不毛に垂れ流すのではなく、REDEMPTIONという次のステージへ進むことが本作の主題なんだ、という監督の強い意志を感じました。

皮下に墨を注ぎ込むマクロなショットが印象的だった短編に対し、レーザーで墨を焼き払い、みるみる腫れ上がっていくブライオンのSKIN。主人公ブライオンを演じたジェイミー・ベルの迫真の演技。タトゥーにまみれた顔面は、心身両方の苦痛に歪みながらも、時折トム・ホランドばりに純朴な表情を覗かせるもんだから困る。ええ役者やなぁ。

ダニエル・マクドナルドが短編から引き続き演じた、ふくよか姐さんとのラブイチャを延々と見せられる観客の身にもなって欲しいけれど、ハロウィンパーティーでブライオンの元カノの首を極めるシーンはウケた。彼女は恋人というよりむしろ母親に近い存在で、劇中彼女と対比関係にあるのは、ヴェラ・ファーミガ演じるママの方。
ヴェラ・ファーミガは、ウォーボーイズを束ねるママとしての立場と、特に目にかけていたブライオンへの個人的な愛との呵責に揺れる演技が素晴らしかった。BrBaのウォルターから威厳を削ぎ落としたような小物オヤジもええ味出してたし、『スケアリー・ストーリーズ』でおぼえたゾー・コレッティのお年頃演技も抜群。役者は総じて良いなぁ。

こういうレイシズムに関する映画では、もう軒並み同じ結論に達してるんだけど、やはり大事なのは次の世代に負の遺産を引き継がせないということ。この映画で印象的だったのは、行き場のない子どもをリクルートして、ウォーボーイが出来上がるまでをちゃんと見せている点。
宗教や強力な思想は苦難に満ちた人生の救済になるかもしれないけど、個人的には親や環境ではなく、自らの意思がそれを選択するべきだと思う。それすらままならないのが今日の世界に蔓延っているシステム。アメリカの一番偉い人がレイシストなんだもんなぁ。

ママは、死産だった赤ん坊を分娩した痛みをブライオンに転嫁している。レイシストは、恐れを憎しみに転嫁して他人を痛めつける。
ブライオンは、その痛みを自分の身体で食い止めていた。国境に壁を築くのではなく、心に憎しみの堤防を築くことが出来れば、世界はWhat a lovery day!(何て日だ)になるのかもしれない。それが自意識を獲得した人類の務めなのかもしれない。