ノラネコの呑んで観るシネマ

SKIN/スキンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

SKIN/スキン(2019年製作の映画)
4.3
米国のネオナチ組織にいた青年が、ある女性との出会いをきっかけに組織を抜けるまでを描く、実話ベースの物語。
タイトルは、ヘイトのシンボルのタトゥーだらけの主人公の皮膚と、彼が攻撃対象とする肌の色の違いをあらわすダブルミーニング。
色んな意味でタイムリーな作品。
秀逸なのは、ヘイトが世代を超えて繰り返される根深い構造を描いてること。
身寄りが無かったり、経済的に困窮してる若者に、疑似家族という“初めての居場所”を与えて洗脳するのは完全にカルトの手法なんだが、組織の創始者もまた似たような境遇だったりするアイロニー。
秘密を共有することによる組織の抜けにくさもカルト同様だが、若者たちにとっては、ヘイトが手っ取り早い自己の存在証明みたいなもの。
おそらく世界中のどこでもこの手の集団の事情は似た様なものだろうけど、貧困と紐付いてるから無くならないんだよなあ。
ジェイミー・ベルが素晴らしい好演。
主人公の辿ってきた人生と、無数のタトゥーを消す手術の様子が平行に描かれるのだけど、あんなに綺麗に消えるんだ!
消した人知ってるけど、その人のは結構跡が残ってたんでビックリ。
まあめちゃくちゃ痛そうではあったけど。