竜どん

SKIN/スキンの竜どんのレビュー・感想・評価

SKIN/スキン(2019年製作の映画)
2.7
冒頭や節目節目に挿入される入れ墨の除去手術シーン。
実際レーザー照射時に伴う痛みは相当なモノらしく、劇中主人公のそれに耐える様は観ているこちらの背中にも冷たい汗が吹き出してくる。
「人は、生まれ変わることができるのか。」
自らの行いを悔いる時、人はそれ相応の苦痛を感じるものだし感じるべきであると思う。断罪されるべき罪が大きければ大きい程、それに見合う痛みを乗り越えた時にこそ自らを赦せ、生きる道をやり直せるのだと。
表題の『SKIN』(肌)は、本作の骨子になっている肌の色の違いによる「人種差別」や「レイシズム」というよりも、主人公の肌に刻まれた「タトゥー」を悪しき象徴として描き、またそれと離別することの難しさ・厳しさを手術の痛みに例えて表現しているところに大きな意味があるのであろう。実際作中のレイシスト団体をカルト宗教団体やマフィアやギャングに置き換えても物語は成立しそう。
ただ実話ベースで脚色もあまりされていないらしいので、ブライオンが改心するに至る程のドラマチックな展開もなく、新しい家族との絆を深める様な感動的なシーンもあまり表現されてはいない(ともすれば衝突ばかり)。希望のさすラストではあるが、「タトゥー」=「悪」を身体から切り離したところで彼等の未来は前途洋々とは行かない気がするのは現実社会の厳しさか。

同時上映された同タイトルの短編は似てるようでアプローチがだいぶ違う作品。短編だからこその展開だが、こちらの方が衝撃度は高く、人間の差別に対する絶望的な悲哀が胸に突き刺さる。


追記
「KKK(クー・クラックス・クラン)」を初めて耳にしたのは『ダッシュ勝平』(古い…)の「勝平くそこのやろ団(アニメでは勝平このやろこのやろ団)」。こういうパロディもおおらかだった時代だったから許されたものの、今なら人権団体から抗議が来そうだな。
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