Kirisshy88

罪と罰のKirisshy88のレビュー・感想・評価

罪と罰(1983年製作の映画)
2.5
食肉加工場の一労働者ラヒカイネンは、かつての恋人を轢き逃げした資産家家を拳銃で殺害する。そこに偶然、その日のケータリングに訪れた女に目撃されてしまう。彼女はラヒカイネンに一目惚れしたのか、警察に事件を通報するものの真相を話さない。むしろ彼女とラヒカイネンは密会を重ねる。警察は当初からラヒカイネンを容疑者と疑っているが、証拠が上がらず、ついに別の容疑者が自白してしまう。

自白主義の無能警察を逆手に、犯人の一抹の良心を描いた作品。「自白よりも証拠だ」と主張する警察は言葉とは裏腹に初動捜査でラヒカイネンの部屋の捜索を怠り、その後も証拠品には素手でベタベタ触って指紋をことごとく消す杜撰な捜査を繰り返す。さらには参考人の女を脅しレイプまでしようとする。結局、警察は腐敗した無能組織であり、ラヒカイネンの罪悪感と良心と自白によって真相は暴かれる・・・ドストエフスキー『罪と罰』の再解釈作品。

画づくりはカリウスマキの大好きな低所得者層の生活臭溢れるスタイルで警察の無能ぶり腐敗ぶりを批判したシーンの数々も反権力のカリウスマキらしい志向である。私はこうした労働者の社会をリアルに描いたカリウスマキの画づくりや過剰な権力批判のシーンは好みではない。また、禿げあがった、魅力ない中年殺人犯に20歳前後の若い女が一目惚れするという設定に無理があるように感じたのでこの評価。
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