のほほんさん

不実な女と官能詩人ののほほんさんのレビュー・感想・評価

不実な女と官能詩人(2019年製作の映画)
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直接は関係ないのだが、ヒロインのマリーを演じていた女優さんは、「英雄は嘘がお好き」で婚約者に逃げられた挙句お姉さんが勝手にその人を英雄にしちゃったりと、色々あった人である。

その時もなかなか奇特な性癖を持って、挙句に文才のある人だったが、方向性のまるで違う本作でも共通項を見つけられるのが面白い。つっても向こうはコメディだけど(笑)

本作は、フランス映画=小難しいというイメージを久しぶりに思い出す感じ。でも、愛をこんな形で描くっていかにもフランス映画のイメージそのもの。同じ様に愛を語っても、「純愛」なんて言葉なぞ風で吹き飛ぶようだ。
そして、愛と芸術が相関関係にある。

愛ゆえに親友を裏切って女を妻にした男は妻から愛されず、親友と妻の逢瀬を知るばかりか子供まで作られる。そして2人の交歓を壁越しに聞く。

詩人にしてとにかく沢山の女と交わりその写真を撮りためる男、ピエールはは、それでも愛を知っていた訳ではない。しかしそれがマリーを愛するようになり、そしてやがて飲み込まれていく。

マリーはとにかくピエールへの愛に溺れている。他の者には目もくれない。ピエール不在の折に関係を持ったジャンも、ピエールへの愛が歪んだ形で表れたに過ぎない(結果振られた可哀想なジャンは自殺)。
果ては妹をピエールの嫁にして、姉妹でピエールに愛を与える。

起こることを言葉にするととんでもないし、ラブシーンや性器まで映るその表現は過剰。しかし、ここまで声高に愛を表現していながら拒否反応の起こりそうな刺激物にならない。これと同じ事を日本でやったら、かなり情念蠢くドロドロしたものになりそう。

まさにフランス映画を観たなあ、という感じだった

↑アホみたいな感想