tak

オフィシャル・シークレットのtakのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

2003年のアメリカ、イギリスによるイラクに対する軍事的な行動。不確かな情報に基づいて攻撃に至ったことに、多くの人と同じく当時すっごく疑問を感じていた。忘れもしない3月20日(結婚記念日なんでw)、英米が攻撃に踏み切った。80年代の映画タイトルを冠した作戦が展開され、捕虜としたイラク兵にデスメタルを聴かせて拷問をしたとも伝えられる。文化を戦争の道具にするんじゃねえよ!と怒りに震えた僕は、米国万歳なハリウッド映画を個人的にボイコットすると宣言した。娯楽大作を避けがちなのは、昔からだけど、宣言したのはあの年だから。

実話に基づく映画「オフィシャル・シークレット」の主人公キャサリンは、英国諜報機関の職員として働いている。ある日、イラク攻撃に反対票を投じそうな安保理の国々を盗聴するよう命じるメールが届く。英米が攻撃を強行するための命令であることは明白だった。憤りを感じたキャサリンは、守秘義務に反することは承知で、メールの内容をリークしたいと元職員に相談する。情報を持ちかけられた「オブザーバー」誌は政府の顔色を伺うのか、スクープを報じるべきかの選択を迫られる。そして発表された記事は政府を揺るがす事態に。同僚が疑われ続けることに耐えられなくなったキャサリンは自分がリークしたと名乗り出る。

職務としての守秘義務は、この映画のように視点を変えれば沈黙を強いられることでもある。キャサリンの身に降りかかる数々の嫌がらせや報復。警察からのプレッシャー。果てはパートナーのクルド人男性が何の罪もないのに突然拘束され、あわや強制送還されそうになる。友人や同僚からも連絡が途絶え、ますます孤立する主人公。彼女に行政訴訟に長けた法律事務所がサポートにつく。司法取引か、法廷で争うのか。

「私は国民に仕えているんです」
キーラ・ナイトレイはこういう芯のある役柄がよく似合う。

法律事務所の弁護士を演ずるレイフ・ファンインズが好助演。罪を認めて減刑を求めようとする意見を退けて、争う為の筋道を立てる場面のカッコよさ。印象的なのはラストシーン。キャサリンの件で対立関係にある政府側の元同僚と、釣りに行った海辺で交わす会話。短いながらも、権力側の怖さ、民間との感覚の相違を示す見事な幕切れだ。

(以下、ネタバレと大事な蛇足)
裁判は国側がキャサリンへの告訴を取り下げて、訴訟を終わらせる結末を迎える。訴訟を続ければ、キャサリン側が開示を求める政府側に都合の悪い事実が明かされるからだ。

このレビューを書いている前日。森友問題の文書改ざんをめぐる訴訟で、国側が原告の訴えを認めて突然訴訟が終結したとのニュースが届いた。訴訟が続くことで原告が求める情報の開示がさらに進んでしまうことを、国側が避けたかったと思われる。訴訟の場で真相究明の機会が失われてしまったのだ。ここにも不都合なオフィシャル・シークレットがある。